バリュー投資についてはこのブログで何回も紹介してきました。
ウォーレン・バフェットを通じて日本でもバリュー投資の知名度は相応にあり、勉強したり実践したりしている方も多い印象を受けます。書籍やブログも多数あります。
ただ、バリュー投資はいざ実践すると疑問点と言いますか、モヤッとする部分が多く、その一部はこの記事で紹介しました。
9/5にじっちゃまこと広瀬隆雄さんのYouTubeライブでバリュー投資をメインテーマにしていた(実際は質疑応答が2時間半ほどありそっちがメインになっていましたが)のですが、そこで語られていたことがまさに私がバリュー投資を巡ってモヤッとしていたことへの回答となっていたかなと思います。
改めてバリュー投資について解説すると
<バリュー投資の特徴>
・企業の内在価値(真の価値)と株価を比較し、
・内在価値(真の価値)より株価が下回っている「タイミングで」
・購入し、内在価値より株価が上回ることを期待する投資方法
です。
<バリュー投資の長所>
・相場に振り回されなくなる
・割安に購入した分の価格差が安心材料となる(安全領域・誤りの許容範囲)
・確実に安定して収益をあげやすい
<バリュー投資の短所>
・結果が出るまでに時間がかかる恐れがある
・内在価値(真の価値)が正確に導けないと成功率が下がる
・ダメ株を掴む恐れがある
じっちゃまのYouTubeライブでは、この短所の部分について
・財務諸表を縦横に読めないとできない
・企業経営者、あるいは財務部長など会計・財務諸表を定期的に見るポジションでないと難しい
・若い人がいきなりできるものではない
と評価しています。以前に著書で説明されていた部分でもありますが、明確に難しい部分を説明頂いた(ある意味では安直にバリュー投資を行っている投資家をぶった斬ったと言えます)と思います。
バリュー投資の難しい部分については「みんなあまり言わないから」とも言っていたので、薄々分かっているけど言えないという部分があるのかなとも思いました。
バリュー投資最大のポイントは
・企業の内在価値(真の価値)
・適正株価
を正確に見極める必要がある点です。
見極めるためには財務諸表を読み込み、収益性・成長性など正確な価値が分かるようにならないといけません。正確に見極められないとたまたま割安な株と万年割安な株(つまりボロ株・クズ株)との見分けがつけられません。また、いつ株価が真の価値を上回るか分からないまま含み損を抱え続けないといけないという問題に直面します。
バリュー投資は理論自体はそれほど難しくなく、ほとんどの方がすんなり受け入れられるものですが、真の価値の見極め方や適正株価の求め方を説明している方はいないと言って良いと思います。
恐らくは正確な計算式などでスパッと求られるものではないからだと思いますが、ロジックや分析ポイントも分かりにくいのでとても難易度が高い投資法だなと感じています。
今回じっちゃまが変にごまかさずに明確に難しいとコメントしたので個人的にはだいぶスッキリしました。
<バリュー投資と逆張り的投資思考は別に考えるべき>
バリュー投資が評価される理由は長所にも書きましたが、相場に振り回されない点だと思います。グロース投資は相場に素直に乗っかる投資なので、トレンドを追いかける形になりますし、価格の上下をウォッチしないといけないので慌てて売買するような事態になることもあります。なのでバリュー投資(の考え方)を志向する方が多いと思われます。
こういった背景から、「トレンドの逆を狙う投資方法(逆張り投資)=バリュー投資」と理解している方も多いのかなと思います。個人的には逆張り投資とバリュー投資は分けて考えるべきだと考えます。
逆張り投資のポイントは
・マーケットサイクル(振り子の位置)を確認する
・現在の振り子の位置と向かっている方向を確認して先を見据えた仕込みをする
ことにあります。
マーケットサイクルを振り子に見立てているのはハワード・マークスです。
ハワード・マークスの考え方は「逆張り思考」です。皆が収益を出しているときはそこそこのパフォーマンスを、皆が上手くいっていないときに良いパフォーマンスを出すことで皆を出し抜くことを投資方針としています。
逆張り投資は投資に向かう態度、方向性を示したものなので企業の内在価値や適正株価の正確な見極めまで求められるものではありません。
投資の基本は「安く買って高く売る」ですが、安く買うことのメリットは「安全領域・誤りの許容範囲」と呼ばれる株価下落時のセーフティネットを構築することなので、逆張り投資の要素をポートフォリオ導入時に盛り込むことで、十分に理解しないままバリュー投資を行うよりもより良いパフォーマンス(あるいはグロース投資と同程度でもリスクが小さいパフォーマンス)を実現することができるのではないかと思います。
また逆張り投資は必ずしもグロース投資・順張り投資と相反する関係ではなく、マーケットに応じて柔軟に切り替えれば良い話なので、投資チャンスの拡大に繋がるメリットがあると思います。