気になるファンドを見つけましたので紹介します。
アクティブファンド(アクティブ投信)は商品性質上、資産作り投資ではなく楽しむ投資に該当します。資金運用はプロに任せるものの、市場平均を上回る結果を目指す商品なので、リスクを積極的にとりにいく能動的な投資という位置付けです。
投資信託の評価基準についてはこちらをご覧ください。ここでは「おおぶね」シリーズを解説しています。
今回紹介するのはスコットランドの老舗顧問会社ベイリー・ギフォードのアクティブファンド
・ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド
・ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド
です。
商品の説明は
こちらもご覧ください。
ベイリー・ギフォード社はスコットランド・エジンバラにある老舗顧問会社ですが
・優れた長期的な投資リターンをクライアントの皆様にご提供する
・細心の注意を払うスチュワードとして短期的な雑音に気を散らすことなく、私たちの長期的なビジョンを実現していく責任を負っています
・ベイリーギフォードでは投機ではなく、長期投資を行います。弊社における株式の投資哲学では成長性に焦点を当て、またグローバルの視点を取り込みます。独自のファンダメンタルズ分析が、長期に亘るボトムアップによる銘柄選択の成功の鍵を握ります
といったフレーズがHPに掲載されています。
長期投資をするという狙いである事が伺えます。ネットで検索しても
・簡単に売却しない(一方で売却するときはスパッと潔く)
・腰の据えた取り組みをする
といったコメントを確認する事ができ、ファンドの姿勢として長期投資の取り組みをベースにアクティブに利益をあげていくのかなと感じられます。
ベイリー・ギフォードはこの記事を読んで初めて知りましたが、
・投資先が成長計画を維持できるよう、資本提供をしている
・EPSやPERには注意を払わず、成長性・競争優位性・持続性を重視
・バリュー志向だと目を背けたくなるような銘柄にも投資
・直近の収益よりも10年後に推進役になる企業に投資
・数学的なクオンツ投資とは真逆
という言葉が出てきます。個人的には好む考え方です。
いわば「長期的目線のグロース銘柄への投資」ということになります。
この要素は個人で取り組むには少々難易度が高い部分です。それは長期的成長性をバリュー投資のように企業の取り組みから判断する必要があるからです。プロの助けが必要となってきます。
<ファンドの特徴>
世界的成長株ファンドは「世界各国株式の中長期的な値上がり益の獲得を目指す」としています。VTやe-Maxis Slim 全世界株式を上回るパフォーマンスを期待する投資信託ということになります。
組入銘柄には
・テスラ
・アリババ
・テンセント
・KERING(フランスの企業)
・ネットフリックス
といった企業が並んでいます。アメリカの企業に関してはいうまでもなく現在花形の企業で目新しさはないですが、アリババやテンセントなどの中国企業や欧州の企業も入っています。
個別株投資で世界各国の成長企業に投資するとなると「何かを取って何かを捨てる」選択が求められます。もしくは相応に資金が必要となります。
このファンドを選択するポイントとしては「アメリカ以外のグロース銘柄にも目配せできる」メリットをどう捉えるかだと思います。
グロース投資は選択と集中とセットで考えた方が資産拡大が図れるのですが、銘柄選択と資金の投入タイミングの見極めなど鍵を握る部分を自力でやるのが難しいという方に適していると思います。
信託報酬は約1.64%。アクティブ投信としては比較的低い方ですが、当然インデックスファンドよりは圧倒的に高いですし、ロボアドよりも高いです。それ以上に好パフォーマンスを発揮する事が求められます。
先ほども述べたように
・世界的成長企業の銘柄選定の手間
・グロース投資に必要な投資タイミングの見極め(勢いやチャートアクション)
・グロース投資の弱点である景気低迷時の対応
の部分をカバーしてくれる費用と考えられるか次第だと思います。
もう1つのインパクト投資ファンドはもう少しテーマ性の強い投資信託です。
愛称の「ポジティブ・チェンジ」という表現が特徴的です。
「社会的課題の解決」と「経済的利益の獲得」がテーマのいわゆるESG投資ファンドといってよいと思います。
・好ましい社会的インパクトをもたらす事業によって、長期の視点から成長 が期待される世界各国の企業の株式等に投資
・平等な社会・教育の 実現
・環境・資源の保護
・医療・生活の質向上
・困層の課題解決 貧困層の課題解決
こういったキーワードにビビットに反応するかどうかで評価が分かれるかなと思います。ESG投資はここ数年のキーワードでもあり、意識を持って取り組んでいる方もいらっしゃると思いますが、具体的にどの投資先が対象なのかを見極めるのは簡単そうで難しい部分です。
またESGに意識を向けている企業は成長性の優先度を下げるところもあり、ESGと成長性を両立させた投資先の見極めを自力でできるかどうかがポイントとなってきます。
主な投資先は
・テスラ
・イルミナ
・TSMC(台湾)
・エムスリー(日本)
・KINGSPAN GROUP(アイルランド)
・BANK RAKYAT INDONESIA PERSER(インドネシア)
などです。ざっと挙げただけでも多彩な国が並びます。
先ほどの全世界成長株よりも多彩でこういった企業を自力で探すのは困難だと思います。この時点でアクティブファンドとしての価値を感じます。
無論ファンドのパフォーマンスが伴わないといけないので、その点含めてどう評価するか次第ではあります。信託報酬は約1.51%なのでアクティブファンドとしては全世界成長株同様に抑えめの数字かなと思われます。
アクティブファンドの信託報酬はファンド内銘柄の回転度合いによって変わる部分なので、数字が抑えめということは回転率が低く、長期投資を基本とするベイリー・ギフォードの方針と一致します。
両方のファンドに共通するデメリットはまだ日本で発売してから年数が経過しておらず、景気後退局面を経験していない点だと思います。コロナショックでは相応に下がっているのでグロース銘柄に向かい風となる局面ではそれなりに評価額が下がるものと思った方が良いと思います。
ベイリー・ギフォードの基本姿勢が中長期を見据えたものなので、投資する場合は目先の価格上下を気にせず長期的に資金を預けても良いと思えるかどうかが鍵を握ることになります。