このCMをご覧になった方はいますでしょうか。投資に興味がある方や投資を始めている方は気になったかもしれません。
農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね
というアクティブファンドの投資信託です。
今回は投資信託を購入する際の見極めポイントを紹介しながら、おおぶねシリーズの投資信託を評価したいと思います。
まずこの投資信託は「アクティブ」ファンドであると書きましたのでそこから解説します。
主に株式をターゲットにしている投資信託は
・インデックスファンド
と
・アクティブファンド
に分けられます。
インデックスファンドは「市場平均」を目指すことを目標としています。市場平均というとしょぼく聞こえますが、「市場の成長と同じだけの収益を目指す」と置き換えると分かりやすいと思います。例えば日経平均に連動した投資信託であれば、日経平均が年率3%成長すればファンドも3%程度成長し収益が得られるというものです。
一般的にコストが安いものの、多くの収益が一度に得にくいという特徴があります。
アクティブファンドは「市場平均を上回る」ことを目標としています。市場平均を上回るにはインデックスのように日経平均やS&P500などに乗っかるのではなく、例えば日経平均対象銘柄の中でも一際伸びている銘柄や、一部上場銘柄以外の成長性の高い銘柄を組み込んだりとファンドマネージャーがアクティブにファンド収益拡大のためのアプローチを行います。
このためコストが高いものの、上手く行けば収益の拡大が見込めるという特徴があります。
おおぶねはアクティブファンドなので、「ファンドマネージャーが積極的に市場平均以上の成果を目指すことを宣言」していることを意味しています。
<投資信託はどこを見るべきか>
私は
・購入手数料
・信託報酬
・何に投資しているのか
の3点「だけ」見るようにしています。あとはノイズです。
理由は後述します。まず注意しないといけないのが投資信託はどの商品も説明がやたら多いのが特徴でもあり難点でもあります。
例えばこれは商品紹介のページですが、書いてあるのは商品の宣伝です。宣伝なので良いことしか書いていないです。お客さんにいかにして買ってもらえるかが勝負なので、
・これだけ伸びてますよ
・成長しているマーケットに投資するんですよ
といった良い部分を分かるようにさもありなんな言葉を使って紹介します。これはおおぶねに限らずどの投資信託でも同じです。
今度は商品の詳細説明のページです。まず目に飛び込んでくるのは基準価格や価格がプラスなのかマイナスなのかの情報ですが、これは基本的に無視して良いです。
投資信託は金額指定で購入します。つまり100円なら100円分、10万円なら10万円分買い付けることになります。価格の変動状況は購入した分の収益に影響するところではありますが、価格そのものは目安でしかありません。
また投資信託は1回買って終わりということはほとんどなく(むしろそういった買い方には適していない商品性)、定期的に積み立てて購入するケースが多いので今そのファンドが幾らであるかを気にしても仕方がありません。最終的には平均していくらで買ったのかがポイントとなりますが、最初に商品を確認する際に価格はほとんど意味をなさないと思って問題ありません。
このページで見るべきポイントは2つ。
・手数料(ここでは買付手数料)
と
・信託報酬
です。共にランニングコストと最終的な収益に影響してきます。手数料は購入するごとにかかります。なので買付回数が多くなる程手数料の影響度が増してきます。
投資信託は毎日、毎週といったサイクルで購入可能です。
私は現在実験的に毎日投資信託をワンコインずつ積み立てています。こういった買い方をする場合、手数料がいちいちかかってしまってはもったいないです。
見極めポイントは「手数料なし・0円・ノーロード」であるかです。1回コッキリの買い方でない場合はノーロードの投資信託を選ぶべきです。
信託報酬は「ファンドマネージャーへの手間賃」と思ってもらえればOKです。
ファンドを運用するにあたって銘柄の調査、購入タイミングの見極めなど手間がかかるほど、購入対象商品がレアなものであればあるほど手間賃がかかるため信託報酬が高くなると思ってください。
信託報酬は毎日抜かれます。表示されている信託報酬は「年間通じて保有した場合、総資産に対して何%抜かれるか」を示したものです。おおぶねの信託報酬は0.99%なので1年間保持すると総資産の0.99%分抜かれる(実際は日割り)ことになります。
0.99%の信託報酬はアクティブファンドとしては標準的です。
目安は「ロボアドの手数料よりも高いか低いか」です。ロボアドの手数料は平均1%程度です。なので信託報酬が1%を超えるアクティブ投資信託は余程魅力的なものでない限り避けた方が賢明です。
例外はコモディティ、ゴールドなどを扱う投資信託です。これは商品特性上止むを得ない部分と割り切らないといけない部分でもありますがそれでもできれば1%未満の商品を選ぶべきです。
なお、インデックスファンドの信託報酬は「0.1%〜0.5%」を判断基準としてください。
株式に関しては0.1%以下がベストです。
ちなみにおおぶねシリーズの「おおぶねグローバル」の信託報酬は「0.33%以内+成功報酬」と書かれています。このように「具体的な数字が見えない要素」がある場合は要注意です。これは
・0.33%以内の「以内」が成立する条件が不明
・成功報酬の内容や成立条件が不明
という点でファンドの思う壺である危険性があります。
さていよいよ「おおぶね」の商品としての評価に移ります。
これは「目論見書」を見る必要があります。
運用方針や商品概要ではおおよそ何に連動した商品であるかは分かりますが詳細が分かりません。得体の知れない段階で投資判断するのは危険なので目論見書は必ず確認しましょう。
ただ目論見書は保険の約款や電化製品の説明書のように「情報量が多い」です。
情報量が多いので購入者を惑わせます。おおぶねであれば
ここだけ見ればOKです。つまり「何にどれぐらい投資しているか」が具体的に分かる情報だけ捕まえればOKということです。この投資信託はディズニーやVISAなどに投資しているんだということが分かります。
一方でおおぶねグローバルは目論見書に具体的投資先が載っていません。
先進国の上場企業で「構造的に強靭な企業」に投資するとありますが、それが具体的にどこを示しているのかが書かれていないので「ファンドマネージャーが構造的に強靭である」と判断した企業に勝手に投資されてしまうということです。
性善説に立って「マネージャーは投資した人に収益をもたらしてくれる」と信じられるのであれば良いのですが、そうでない場合は不安が先立ちます。
つまり最低限上位10社程度でも具体的にどこに投資しているかを明記していない投資信託は外した方が良いということです。
・信託報酬
・どこに投資しているか
の2つが不明瞭な点でおおぶねグローバルは落第ということになります。
ではグローバルではない方の「長期厳選投資 おおぶね」の評価はどうでしょうか。
・手数料:無料なのでOK
・信託報酬:0.99%はアクティブファンドとしてはOK。インデックスとしてはNG
・投資先:ラインナップしている10社は特に問題なし。具体的に示しているのでOK
ということになります。
最後にアクティブファンドの投資信託を買うか買わないかの判断基準を示します。
それは
・インデックスファンドとの比較
・ETFとの比較
を必ず行い、「両者よりも優位な点」があるかどうかを評価してください。アクティブファンドは市場平均よりも上回るパフォーマンスを得ることを目的としているからこそ高いコストをかける価値があるので、比較しても大差ない場合はインデックスファンドを買うかETFを購入した方がお得です。
これは恐らくこれから投資を行う方にとってはハードルが高いです。
つまりアクティブファンドは初心者には不向きな商品であると言えます。中身を見て内容を理解した上で、例えばインデックスファンドよりも厳選した銘柄に集中して投資しているなど優位性が自分で理解できるようになって初めて手が出せる商品であるということです。
個人的にはこの内容であればVOOやVIGなどのETFの方が優位だと思います。意見には個人差があるので、あくまでこれはご参考ですが。。。