日経新聞以外にも一般のニュースで「金(ゴールド)」がクローズアップされました。
国内で金の価格が1980年以来の最高値をつけたことで注目がさらに集まっています。
通常一般のニュースで紹介されるというのは「ヤバイ兆候」という見方もありますが、現在の経済状況を踏まえると「なお買いである」と思われます。
<なぜ金(ゴールド)は上昇しているのか>
まずここ最近の金価格の動向を確認します。
金の価格は昨年から右肩上がり傾向でした。
金は
・経済動向が不安定な時
・金利が下がった時(現金の価値が下がった時)
に価格が上昇します。2019年は金利が下がったこともあり価格が上昇していました。
2020年に入ってからは上昇の意味合いが変わります。年初から中東や中国との衝突によって「経済動向がいつ悪い方向に向かうか分からない」という不安感が出てくるようになり金利下落と経済動向の不安定さと上昇要因が重なります。
ところが3月に入りコロナショックが起きます。
コロナショックのような暴落により、人々は矢継ぎ早に現金化に向けて動き出します。この時金も一気に売られます。3月の時点では「金=安全資産の崩壊?」といった論調が目立ちます。
一時的ではなく、ズルズルと下がっていくのであれば崩壊と言えますが、パニック売りであればむしろ買い時と思いましたが、案の定すぐさま再上昇します。
そして冒頭の通り日本においては40年ぶりの最高値更新となります。
<最高値更新でも「買い」の理由>
さてでは最高値を更新した金は今後も買いなのでしょうか。
筆者は「買い」だと考えています。
(買いである理由)
・コロナショックを前後して政策金利がほぼゼロになっている
・大規模金融緩和や財政出動などにより現金価値が今後下がることが見込まれる
・株式、債券への積極投資が難しい状況である
この3つです。コロナショックが金への投資を加速させる可能性があります。
コロナウイルスの影響が出始めた時期から、政策金利の大幅引き下げが行われました。金利の低下は金にとっては追い風です。
さらにコロナウイルスの経済的影響が深刻化することにより、現金ばら撒き要素の強い政策を打ち出さないといけない状況に世界各国が追い込まれています。これ自体は仕方がないですが、問題はコロナウイルスの感染スピードが落ちて一段落の状況になった「後」に金融・財政が元の状態に戻るのかという点です。
いわば焼け野原状態になったところに水や肥料をまいても直ぐに芽が出ないように、異常事態から真っ当な状態に戻すことは簡単ではないと思われます。むしろ経済状況は新たな局面に入る可能性もありその中で金は引き続き価値が保たれるのではないかと見ています。
現金の価値が崩壊し、現金以外の資産に振り分ける動きが加速するものと思われますが、金がその筆頭になるのではと思われます。
というのも
・金利が大幅に下がった状態で債券に旨味がほとんど残っていない状態
→少なくともプラスは期待できない。資産保全としての機能だけ果たす
・株式は今後の動向が予測がつかない状態
→停滞、大幅下落の可能性を残す。インフレが加速するとさらに苦しくなる
といった要因があり、短期的には債券や株式にこれまでのような成長性があるかは疑問がつく部分があるからです。
長期的に見ても現金の価値が無くなっていき、安全資産を希求する動きが増幅するとした場合、金の価値はさらに上昇する可能性があります。さらに銀や仮想通貨といったところにも波及するかもしれません。ただ銀・仮想通貨は変動要素もあるため「伝統的な安全資産」を信頼する動きが強まれば金(ゴールド)一強となるかもしれません。
いずれにしてもポートフォリオの一部を金にするメリット・意義は今後強まっていくものと思われます。