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米国株デビュー講座を再読する〜第6章 投資シグナルの読み方。景気、金利と個別株の関係〜

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じっちゃまの米国株デビュー講座第6回目です。

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今回は「投資シグナルの読み方。景気、金利と個別株の関係」です。

 

※記事からの引用部分は斜体で記載しています。

 

株式投資のパフォーマンスを左右する重要な要素。それは金利と景気です。

 

不利な環境の中で投資をすることは、川の流れに逆らって泳ぐのに似ているからです。甘い判断は、事故のもとです。

 

金利が上昇する局面は株価が下がりやすくなります。

また景気が悪い時は企業の業績が悪くなるため、株価に悪影響を与えます。

 

いまが安全な時か、それとも危険かを判断するためには、そもそも経済や金利がどういった状態のときに、それが「潮がきつい」とか「水が冷たすぎて体力の消耗が激しい」などの危険信号に相当するのか、シグナルの読み方を知る必要があります。

 

投資=水に飛び込むという事ですね。今から飛び込む先が水温が冷たかったり、急流で油断すると死に繋がるようなそういった中に飛び込むよりは、水温が適温で流れが穏やかな時に飛び込みたいものです。

 

金利上昇局面は経済が冷え込みます。景気が悪い時は冬場のような冷え込みとなります。そんな時よりは金利が下降して春か水に飛び込みたくなるような真夏に飛び込む方が良いと思います。すごく重要な差だと思います。

 

無理に厳しい環境の時に仕掛ける必要はないという事です。これは投資法に限らず一緒です。

 

金利と株式の関係>

金利が高い時は株式にとっては向かい風です。

株式は価格変動リスクがあるため、株式と預金と期待リターンが同じであった場合大抵の人は預金を選びます。このため、株式の値段は下がりやすくなります。

 

株式が投資家の資金を獲得しようとすると、それよりずっと魅力的なリターンが見込めなくてはいけません。

つまり、市中金利が高くなればなるほど、株式投資のハードルは高くなるのです。

 

金利が高い状況が続くと株式だけでなく、経済全体が冷え込みやすくなるため「利下げ」を行うことになります。

 

もちろん、政策金利の引き下げは、すぐに株式市場の上昇をもたらすとは限りません。普通、緩和措置が実体経済に効いてくるまでには、相当のタイムラグがあります。だから性急に出動し過ぎたら、やられる心配があるのです。

 

利下げ=株価上昇ではない点に注意です。

分かりやすい例だと今年3月の大幅な利下げの直後は暴落を招きました。利下げの効果が現れたのは5月ごろ。その後さらに株価が上昇し、今に至ります。

 

利下げが発表されたにもかかわらず、経済のニュースは暗いものばかりが、これでもか、これでもかと続きます。具体的には企業倒産、失業率の上昇、自動車販売台数の落ち込み、住宅着工件数の低迷、鉱工業生産の低迷などです。株式市場の見通しに関しても悲観的な記事が多くなります。「利下げしたのに、なぜ経済は一向に好転しないのだろう?」……そういう焦りが出たとき、投資家は株式市場に見切りをつけます。

 

コロナショックの時はあっという間に流れてしまったので利下げ効果が反映されるまでの時間差はそれほど長くなかったですが、金融危機バブル崩壊による株価低迷のケースでは時間差が大きくなるため、「対策を立てたのに効果が現れないじゃないか」と焦るようになってきます。

 

焦るだけでなく、ネガティブな空気が支配し投資する意欲を奪います。

 

しかし、ある時点から経済のニュースは依然として悪いのに、もう株価はそれに不感症になって、下がらなくなります。具体的には、それまでどんどん増えていた新安値銘柄数が、もうあまり増えなくなるのです。

 また、相場の大底では人々の関心は株式市場から離れてしまい、出来高は細る傾向にあります。投資家の気持ちが「もうそろそろ買い出動をかけて大丈夫だろうか?」というものから、「もう二度と株に手を染めたくない!」という辟易(へきえき)したムードに変わる……この時点で、第1回目の買い出動をかけてOKです。

誰しも株を買う気にならないような展開こそチャンスというのはハワード・マークスやウォーレン・バフェット、チャーリー・マンガーなどの逆張り戦略の投資家が共通して述べている部分で投資法に関係なく重要な買いポイントである事が分かります。

 

株式は「できる事なら安い価格で購入する」に越したことはないので、値下がりを狙って購入したいと思うのが自然です。でも単に下がった時ではなく、マイナス材料が出てきて興味関心が薄れた時(出来高が落ちた時)がチャンスということです。

 

この局面の株価は、株式投資を始めて間もない投資家にとって、理解しにくい動きをします。不景気なニュースは、さらなる金融緩和を催促するものとして、株式市場参加者にポジティブに受け止められるのです。つまり「悪いニュースは、ポジティブ材料」というわけです。

 

ひねくれていますが、これは納得する部分があります。

コロナショックで沈んでいた時期は

・上昇は一時的だという声が多数派

・感染者数が増えると株価がさらに下がるかもと不安になる

・二番底があるかもしれない

・経済指標でショッキングな数字が出てきた

といった話題が飛び交いましたが、ネガティブなニュースは

・ゼロ金利据え置き

・金融緩和施策(QE)の継続

の支えになります。これにより株高が維持されるということです。

 

市場参加者は、金融緩和というものが累積的に、ジワジワ実体経済に効いてくるということを経験から知っています。株価には先見性があり、投資家は「いずれ緩和が実体経済に効いてくるのなら、先回りして株を仕込もうか?」という発想をするわけです。

 この段階ではいまだ景気は悪いわけですから、企業の業績もパッとしません。つまり投資家の期待を支えている唯一の支援材料は、金融緩和だけなのです。これが「金融相場」の初期の姿です。

じっちゃまは度々「今は金融相場が始まったばかり」と述べています。懐疑的な声もあるようですが、中央銀行の政策により相場が動いているのであれば今の株高は金融相場によってもたらされているといって良いと思います。

 

恐らく懐疑的な声を挙げている方は「金融相場っていうけど、ハイテクとか好決算連発しているから景気悪くないし、むしろバブルじゃないの?」という疑問を持っているのだと思います。ただ忘れてはいけないのがコロナショックにより外食・旅行・航空・海運・レジャーなど痛手を被っている企業が多いです。

 

そういった企業の決算はボロボロです。悪影響は続くものと思われます。

GAFAMでもGoogleなど広告収益の落ち込みの影響を受けているところがあります。

今の株高は金利低下と大規模金融緩和によってもたらされていると捉えた方が自然だと思います。

 

ただ、業績と金利の2つの影響が折り重なっている部分があり、教科書通りの金融相場であるかどうかは少し懐疑的に見ておいた方が良いかもしれません。ところが。。。

 

金融緩和だけに一縷(いちる)の望みを託す……というと、いかにも危なっかしいように聞こえるのですが、実際にはこの段階での投資は比較的リスクが限定されています。なぜなら、中央銀行がクッションを提供しているからです。従って年季の入った投資家ほど、金融相場の初期段階では積極投資します。

 往々にして、そういう局面で人気化するのはバイオテクノロジー株やインターネット株のような普段から株価評価の高い銘柄である場合が多いです。これは低金利下ではPER(株価収益率)が拡張しやすいことを見越した投資戦略によります。

 

米国株デビュー講座が書かれたのは2019年ですが、あたかも最近書いたかのような内容です。金融相場の初期段階で起きる典型的な状況が今のバイオ株(コロナ関連株)やGAFAM・SaaS銘柄の好調として現れています。

 

米国のプロの投資家は儲(もう)けの源泉として「金融相場が8割、業績相場が2割」という捉え方をしています。金融相場というものに対して、プロは大きな信頼を置いているわけです。

裏返していえば、個人投資家は金融相場を過小評価し、業績相場を過大評価しすぎる傾向があるのです。

これは悪いクセなので、金融相場と仲良くつき合う態度を早く身に付けてください。

 

金融相場を過小評価する傾向があるという事が正しいのであれば、今が金融相場と仮定した場合、様々不安要素が飛び交っていて現状の株高に懐疑的な意見が多い現状は儲けのチャンスと捉える事ができます。

 

金融相場の後半では、実体経済が改善しているというニュースがチラホラ入ってくるようになります。この局面では売られ過ぎた小型株が大型株よりスルスルと上昇するケースがよく見られます。

中央銀行はそろそろ緩和を止める頃合いを見計らうようになります。その場合、「景気に関する良いニュースは、緩和が終わってしまうので、売り材料だ」というふうに取られる現象が見られるようになります。

 

金融相場が始まる局面とは反対の事象が起きるという事です。

好景気が続くと経済が加熱するため、金利を引き下げて冷却化を図ります。

こうなると経済好調・業績好調というニュースがバンバン出てくるのに、株価が伸び悩む・減少するといった状況が起こります。

 

1回目の政策金利の利上げが発表された後から、投資家は新しい切り口で相場に取り組もうとします。「そもそも利上げされたのは、経済が好調だからだ」というわけです。つまり、ようやく立ち直った経済に素直に喝采(かっさい)し、業績の伸びを追いかけるような株の買い方が主流になるわけです。これが業績相場です。

 

業績相場は景気サイクルの後半〜終盤にかけて起こります。つまり下落局面のシグナルでもあるわけです。

 

そのような相場は、プロにとっても、株式投資を始めたばかりの投資家にとっても、分かりやすい相場です。鉄鋼、自動車、工業などの業種は固定費が高いビジネスです。そのようなビジネスでは、ある程度、売上高が確保できないと利益が出せません。そのことを「損益分岐点が高い」と表現します。

 しかし、ひとたび売上高が損益分岐点を超えると、今度は面白いように純利益が伸び始めます。なぜなら売上高の伸びに対して、固定費の伸びはそれほど伸びないからです。そうなれば追加的な売上高の伸長は、面白いように利益にはね返ってきます。低位株、「重厚長大」的なイメージの株などが人気化するのは、このような局面です。

 

景気サイクルと好調セクターの関係性は

・景気低迷〜回復期:金融やハイテクなどが伸びる

・景気好調〜停滞期:素材、自動車などの工業製品などが伸びる

とされています。軽いものから早く伸び、重いものは遅く伸びると押さえておくと分かりやすいです。

 

中央銀行はその間もインフレに目を光らせているものです。金利政策が経済の強さに対して緩和的過ぎると、それは将来のインフレ誘発の原因となってしまいます。このため規則正しいペースで、利上げをします。

 面白いもので、投資家は1回目の利上げをあれほど恐れたにもかかわらず、2回目、3回目になると利上げに慣れっこになってしまい、利上げのニュースには関心を払わなくなります。「どうせ金利の水準はまだまだ低いのだし、今は経済に勢いがあるから、大丈夫」というわけです。

 

現状一番気にしないといけないのが「金利の上昇」だと思います。インフレ抑制目的ではないものの異常ともいえるゼロ金利・大規模金融緩和が「いつまでも続くとは限らない」と考えておく必要があります。

 

相場の天井では、指数が新高値を更新していても、騰落線が伸び悩む、新高値銘柄数が減少するなどの、注意深くマーケットを観察している人だけが気がつく微妙な変化が現れます。

マーケットの天井は、投資家が皆、安心しきって、枕を高くしてぐっすり安眠しているときに、勝手口から忍び足で侵入してくるのです。

熱狂の中で突如として株高の終焉は訪れるというわけです。

ただそれには兆候があるということも押さえておく必要があります。金利の上昇は分かりやすいテーマです。チャートアクションや財務情報よりも明確に金利が警戒シグナルであるということです。

 

株式市場が下落を始めると、不動産価格も崩落することが多いです。あらゆる資産価格が下落し、世の中は急に不景気になります。この局面での株価の調整幅は、中央銀行が最初に利上げに着手したときの調整よりもずっと大きい場合が多いです。また、急いで利下げに転じても、しばらくの間はそれが資産価格の下落を食い止めることはできません。株式投資で一番大きく損するのは、この局面です。

 

コロナショックのような状況だと分かりにくいですが、リーマンショックやITバブル崩壊によるマイナスの影響が長く続いたのは下落に対しての調整がなかなか反映されず、その間ズルズル価格が下がっていたからだという事が分かります。

 

自分の立ち位置が大体把握できれば、その時々にやるべきことがハッキリします。だから「今がサイクルのどこに相当するのか?」ということを常に自問する習慣をつけてください。

 

これはハワード・マークスも「振り子の位置」という言葉で表現しています。サイクルは常に動いており、振り子が今どこにあるか・今がサイクルのどの段階にいるのかを確認してそれに従って動く事が大事です。

 

言い方を変えるとサイクルの位置がある程度理解できているのであれば現在位置に反したひねくれた投資行動をとるのではなく、サイクルの位置に素直従った方が良いとも言えます。