じっちゃまシリーズ第7回です。米国株デビュー講座を解説しています。
第7回目は「株はいつ買って、いつ売る?」です。投資家にとって永遠のテーマですよね。
※記事から引用した部分は斜体で表記しています
皆さんは「順張り」とか「逆張り」という言葉を聞いたことがありますか?
順張りとは、株価が上がっているときに、その流れに素直につくような投資法を指します。
逆張りとは、株価が下がっているときに、その流れに逆らうように買い向かう投資法を指します。
順張りと逆張り双方の端的な特徴を示しています。議論の的になりやすい話ですね。そして悩ましいものです。
このどちらも確立されたアプローチであり、正しいです。
じっちゃまはこう述べています。どちらも正しいと。
この時点で順張り・逆張りどちらが良いかを議論することはあまり意味がないように感じます(あくまでじっちゃまの投資コンセプトから見た場合ですが。他の投資コンセプトを基準にした場合、当然ながらどちらかが正しいという結論になる可能性があります)
しかし、順張りと逆張りでは、使う局面が全然違います。つまりそれぞれに正しい使い方をすれば、両方とも成果を挙げることができるけれど、間違った使い方をすると、どちらを使っても失敗するのです。
長期投資・短期投資でもそうでしたが順張り・逆張りも正しい形、やり方があると述べています。
<順張り投資>
順張りは、主に短期トレーディングに使います。順張りを行うためには、まず上昇トレンドがきれいにチャートに表れている銘柄を探します。
こういった動きをしていることです。波を打っていますが、全体としては右肩上がりになっています。
上昇トレンドラインは、右肩上がりになっている株価の底値を結ぶことによって描けます。最低でも2回、株価がトレンドラインを試し、それを守った銘柄だけを選ぶクセを付けてください。
トレンドラインを試し、それを守った回数が多いほど、そのトレンドラインの信頼性は高いです。
トレンドラインとは画像の波の底を繋ぐように引かれている線のことです。
この線の下をチャートが潜り込むことなく反発して上昇する。そういった銘柄をまず着目するように述べています。
銘柄をチャート形状から逆引きするのは難しいので、上昇傾向にある銘柄や話題になっている銘柄からまず追っかけていく方が良いと思います。そうした銘柄は買われやすいので上昇の余地があるからです。ただ全ての銘柄必ずしもトレンドラインを守っているわけではなく単に乱高下している銘柄もあるので注意してください。
さて、順張りの買いのタイミングですが、安くなっているときに買うのではなく、必ず前回の高値を超えた時点(図中A)で買いに入ることを心掛けてください。
そうする理由は、過去の高値を超えるには、それなりの勢いが必要であり、高値を超えた瞬間には、余勢を駆って株価が伸びるケースが多いので、それを利用しない手はないからです。
トレンドラインを2回クリアし、上昇傾向が続いて前回の高値(新値・新高値)を超えた時がチャンスタイムということです。上昇して伸びている銘柄を素直に捕まえにいくのが順張り投資ということです。
逆に言えば、順張りでは買ったはなからすぐに利が乗り始めるのが当たり前なのです。もし、皆さんが順張りをしたつもりでも、買ってすぐに利が乗らないようなら、あなたがやっていることはどこか間違っていると考えて良いでしょう。
買った後に株価がスルスル上昇すればOK。なかなか上昇しない。停滞している、あるいは値下がりしてしまう、下手したらトレンドラインを下回ってしまうという事が順張り投資ではあってはいけないということです。
順張りの場合購入して数日が勝負でもあるということです。
順張りの売りタイミングは、次の二つの局面です。
1:株価が上昇トレンドラインを割り込んだとき
2:自分の買い値から8%以上、やられたとき
短期投資の鉄則と言っていいと思います。上昇の勢いがなくなった時が売り時ということです。それまで上昇・上昇を繰り返しているので勢いが落ちた後に下がったとしても利益は取れているはずです。これは良い売りのパターンということです。
一方で買い値から8%以上やられた時というのは悪い売りのパターンといいますか、「損切り基準」ということです。
1回のトレードで8%程度のヤラレなら、次回以降、立ち直ることもそれほどムリではないのです。しかし、損失が大きくなるのを放置しておくと、後で挽回することがとても難しくなります。
やられた度合いが大きいほど、回復するのに必要なプラス分が多くなるので簡単ではないということです。
なお、ここが強調したい点なのですが、順張りにとって「良い銘柄」とは、あくまでもチャート上でトレンドがきれいに出ているような銘柄を指し、その企業が何をやっている会社か? とか、投資テーマがエキサイティングか? とか、業績が良いか? などは考慮する上では二の次だということです。
銘柄を見るべきポイントがそもそもチャートであるということです。
テーマ・ストーリー・業績は二の次、どうでも良いというのが順張り・短期投資の評価ポイントということです。
<逆張り投資>
逆張りは主に長期投資に使います。逆張りを行うためには、まずそれが長期保有に足るだけの、業績面でしっかりした銘柄であることを確認する必要があります。言い直せば今後の業績の伸びが、株価下落という目先の悪材料をはねのけて余りあるくらい元気でなくてはいけないのです。
順張りと「全く逆」である点にまず注目です。順張りは短期投資でしたが、逆張りは長期投資に適していると述べています。そして順張りで考慮しなくて良い業績面の評価を逆張り投資ではしっかり確認するようにと述べています。業績の伸びがすごく重要ということです。
逆張りは、落ちてくるナイフを素手でつかむような危ない行為です。台風で大シケになっている状態で航空母艦から発艦するような向こう見ずな試みなのです。そんな危ないことをやろうとしているのに、その会社の業績も確かめずに買うのは、賢い投資ではありません。
チャートやストーリーなどだけで評価しないようにということです。業績をしっかり見ましょうということを重ねて述べています。
全天候型の銘柄の第1番目の条件は、好況時でも不況期でもちゃんと利益を出せる、利幅の大きい企業です。もっと踏み込んで言えば、営業キャッシュフロー・マージンが最低でも15%から理想的には35%に近いビジネスということです。
稼ぐ力がしっかりある企業を選びなさいということですね。
著書でも重要な評価基準として挙げていた「営業キャッシュフローマージン(売上高における営業キャッシュフローマージンの割合)」が15%以上は欲しいということです。
代表例はこういった企業です。
・ビザ(V)
・アムジェン(AMGN)
・グーグル(GOOGもしくはGOOGL)
・バイオジェン(BIIB)
・ノボ・ノルディスク(NVO)
・ギリアド・サイエンシズ(GILD)
・アップル(AAPL)
・ユニオン・パシフィック(UNP)
・ノバルティス(NVS)
・AT&T(T)
・コカコーラ(KO)
・バクスター・インターナショナル(BAX)
・サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(TMO)
・ベクトン・ディッキンソン(BDX)
・ストライカー(SYK)
・ウォルト・ディズニー(DIS)
・アイデックス・ラボラトリーズ(IDXX)
・ウエイスト・マネージメント(WM)
多種多様ですね。GAFAMのようなメガ企業、ピカピカに業績が良い企業。コカコーラ のようにディフェンシブな銘柄も入っています。
つまりグロース・バリュー投資で象徴的に挙げられている企業どちらであっても良いということです。強いて言えば季節要因・景気要因の波が少なく、いかなる局面でもコンスタントに稼ぐ力・稼ぐ材料があるかどうかという事が問われているという事です。
さて、逆張りの売りタイミングは、いつでしょうか?
逆張りは、主に長期保有に使うので、滅多なことでは利食い売りしません。上に列挙したような銘柄を、ずうっと抱き続けてください。イメージとしては5年くらい保有し続ける感じです。
バイ・アンド・フォールドということですね。といっても永久保有と言っていないのは、恐らくですがその企業の稼ぐ力が弱まっていないかどうかの確認も行うものでもあるので年限を一応切っているということでしょう。長期投資に相応しく、長く保有する事がポイントです。
値動きがマイルドなので、短期ではそんなに儲からないのです。また、順張りのところで説明したような、買った先からすぐに利が乗り始めるようなうれしいシナリオも忘れてもらって結構です。
順張りとは全く真逆の考え方ということです。
最後に最も悪い投資手法を紹介しておきます。それはポンコツ銘柄でこっぴどく売り叩かれているような株を、リバウンド狙いで買いにいくやり方です。そういう手法が好きなセミプロ級の投資家というのは、確かに存在します。
でも、このやり方はわざわざ業績の悪い会社を買うわけですから常に悪決算や倒産などの恐ろしいニュースと背中合わせです。
業績の悪い銘柄、景気が悪い時に底に向かって突き進む銘柄、経済状況にそぐわない(例えばコロナ禍における観光・航空・ホテル・レジャーなどです)銘柄などが該当しますが、「今下がっているけどいつか上がるだろう」というやつですね。
じっちゃまは折に触れて今後のシナリオに先回りした動きを避けるように述べています。
・決算発表前に売る、買う
・経済指標の発表に先駆けて売る、買う
・サイクルが来る手前で売る、買う
といった動き方ですね。「確定してから(恥を忍んで)動く」ということを徹底しましょうということです。
順張り・逆張りにおける株式の売買についての解説でした。
相互に言っていることは全く反対なので、実は「両方やっても良い」ということなんですよね。
ここでも解説しましたが、投資方法は個人個人適しているものが異なるので、やってみないと分からないし、利益が挙げられる投資法=その人に適した投資法ということなので順張り・逆張りどちらが良いというわけでもなく、両方試して良かった方を選べばよいですし、両方とも上手くいったのであれば両方を実践するでもOKということです。
でも大事なのは「正しいやり方で実践する」ことです。
これが何より重要だと思います。