意見が別れるテーマを扱います。
日本株と米国株その違いの1つに「購入単位の違い」があります。
日本株は単元株と言う言葉がありますが、基本的に100株を1単元とし、100株分を一度に購入する必要がある銘柄がほとんどです。
これに対して米国株は1株から購入することができ、これを米国株投資のメリットに挙げる方もいます。
例えばファーストリテイリング(ユニクロ)の株価は2020.7.2時点で61,310円です。
これを単元株で購入する場合6,131,000円用意しないといけません。
一方でAmazonの場合2020.7.2の時点で2944.20ドル(約316,678円)ですが、1株から変えるのでボーナスの一部をAmazon株にといった投資をすることも可能です。
日米屈指の高価格株にかかる費用はこんな感じです。
さて以前から日本の証券会社でもミニ株・単元未満株というサービスを行っています。これは単元に達していなくても1株単位で株を購入することができるというものです。ミニ株や単元未満株を活用すれば高額の銘柄にも投資可能です。
ただあまり注目されてこなかったのは恐らくですが「株主優待」が影響しているのではないかと推測しています。株主優待は単元株を購入した場合に権利を得ることができる銘柄がほとんどです(一部の企業は1株でも優待の権利を得ることができます)。
日本株を購入する動機は「株主優待」という方もいると思います。となると1株1株コツコツ買うやり方は面倒と見る方が自然かなと思います。
<風向きが変わった「スマホ証券」>
ここ数年は米国株の好調もあって米国株投資を行う方が増えました。
米国株投資に関する書籍も増え、TwitterやYouTubeで扱う方も増えました。
購入手数料の値下げも追い風となり、投資の流れが日本株から米国株に向かっているのを感じます。
日本株購入の追い風になるかもしれないのが「スマホ証券」です。
SBIネオモバイル証券
LINE証券
日興フロッギー
といったスマホ証券が続々デビューしています。
さらに7月にはCONNECTがサービスリリースしました。
LINE証券、日興フロッギー、CONNECTは野村証券・SMBC日興証券・大和証券が手掛けています。共通しているのは「店頭型・対面型販売」を中心としている証券会社です。
SBI、楽天、マネックス、DMMといったネット証券が台頭する中で苦しい状況を打開するべく、特に若い世代を取り込むべくスマホ証券に参入したという事情があると思われます。
そういった事情を踏まえてスマホ証券は
・1株から手軽に購入できる
・現金だけでなくポイントでも購入できる
・分かりやすくて見やすい画面表示
といった特徴を持っています。
つまりできるだけ手軽に購入できることを意識した作りにし、利用者を増やす作戦です。
スマホ証券では少額からでも購入できることをメリットとしてうたっているため、日本株であっても「1株から」購入できることを掲げています。
スマホ証券を全面に活用するのであれば1株ずつコツコツ買い足していくやり方が中心になると思います。前置きが長くなりましたが、今回はこのやり方のメリット・デメリットを考えてみます。
<1株投資のメリット>
・少額投資ができる
・様々な企業の株を購入することができる
・1株でも購入すれば配当が得られるので、配当投資も可能
<1株投資のデメリット>
・購入手数料がかかる(購入する都度証券会社に手数料を払う必要がある)
・単元株に達するまで株主優待を得られない
・投資先を分析することなく手軽に買ってしまう(人気投票になりやすい)
メリットはやはり「手軽さ」だと思います。10万円以上かかる単元株も1株単位であれば1000円以上あれば購入可能です。1000円台で買えるのであればお小遣いの一部や毎月の余剰資金を株式購入に回すことが楽になります。
米国株と異なりいちいちドルに振り替えたりする必要がないので、手軽に投資できる大きなメリットがあります。
1株から購入できるので、気になる企業の株を次々増やしていくこともできますし、様々な企業の株を少しずつ買っていくこともできます。これも単元株投資ではできないことです。また配当も得られます。
デメリットは「手数料」だと思います。購入する都度手数料がかかるタイプの場合、1株ずつ購入するとその度に手数料がかかってしまうので資産拡大の効率性を下げてしまいます。
株主優待は人によってはデメリットに感じるだろうと思われる要素です。株主優待は「一見」株主に優しい取り組みですが配当よりも実質的なリターンを損ねる要素なのでこれはデメリットではないと考える方もいらっしゃると思います。
これは個人的に感じていることですが、1株ずつ買うとどうしても「買う」ことに意識が向きがちです。とりあえず話題だから買おう、気になったから買おう。動機・きっかけとして必ずしもマズいわけではないですが財務分析・市場動向・決算といった本来個別株投資を行う際にやっておかないといけないことをすっ飛ばして購入してしまう「手軽さ」が出てしまうのでは?と考えます。
単元株投資は投入費用がかかる分、慎重になり慎重になった際に行う分析が的確な投資先の判断に繋がる可能性があると考える場合1株投資の手軽さはデメリットとなります。
<私はこう考える>
では私はどう思っているか。個人的には投資の導入部分、投資を始めるきっかけとしてお小遣いなどを1株投資に当てるというのは「あり」だと思います。
米国株も1株単位でコツコツ買っていくやり方がありであるように、ETFや投資信託をコツコツ積み立てて購入するようにしていくやり方は手数料の問題を差し引いてもありなのではないかと考えています。
その理由は「投資しない選択」よりはましだからです。
投資金額がそれほど多くない段階だと「ある程度まとまった資金になるまで待つ」傾向が強くなります。大前提として投資期間が長ければ長いほど、市場に投資している資金が多ければ多いほど最終的に資産拡大可能性が高まるのであれば待つことのメリットは実はそれほどないと言えます。
これは現金も投資であるというもう1つの前提もあるのですが、現金として何もせずに寝かせてしまうよりは1株でも投資して資産拡大の機会(無論減少の機会に晒してしまう可能性もあります)になるべく長い時間触れるようにした方が良いと考えているためです。
例えば
・つみたてNISAで投資信託の積立投資をしている
・インデックス投資を一定額実施している
といった資産拡大のベース作りをしている方で個別株にも興味を持った方でいきなり大きな金額を投じるのが難しい、あるいはそんなに多くの資金がないという方は1株投資を手元の余裕資金から始めていくというのは悪くはないと考えています。
さらに慣れてくると手数料の問題に気がつきます。ネックであると感じたのであれば単元株投資やある程度まとまった単位で購入するやり方に切り替えれば良いのでは?と思います。
大事なのは少しでも長い時間お金を市場に晒すことだと思います。