こちらの最後で触れた「バリューハンティング」について解説します。
<バリューハンティングとは?>
勝手に作った言葉です。
バリュー投資を行う上で「ターゲットに定めた企業の個別株を買い付けること」をイメージしています。
<バリュー投資について、おさらい>
バリュー投資とは「その企業が持つ本質的価値が価格を上回っている先に投資する」ことです。投資先の本質的価値と価格の差を見極めるのが大変ではありますが、株価が下落したタイミングで投資できる点もあり、今現在のような相場が荒れているタイミングの後にチャンスが待っています。
<投資の賢人の方針とは?>
バリュー投資は世間一般の投資法とは逆張りのやり方です。
投資の本質は「利益を得て資産を増やすこと」なので下落したタイミングで買うのは一見すると本質に逆行した考え方です。長期的に押し上がる先(本質的価値を価格が上回り収益を獲得する先)だと信じて買うので最終的には他の投資方法と同じで利益を得て資産を増やすための投資法ということにはなるのですが。
バリュー投資を代表する投資家といえば
・ハワード・マークス
といった名前が挙がります。
グレアムの投資法は端的には割安株への投資です。これがバリュー投資の最もシンプルなところかなと思います。
バフェットはグレアムの考え方を改良して価格だけでなくその企業が持つ本質的価値に注目して、その価値と価格の比較によるバリュー投資法を編み出しました。バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ社は巨額の資金を生み出す「源泉」があります。
源泉があることで、バフェットは「投資したい企業が何らかの理由で価格が下がった時」に「一気に買い付け」をすることができるわけです。
その源泉とは「顧客が支払う保険料(フロート)」ですが、これは過去に保険会社を買収したことで編み出したもので通常保険料をプールする際は債券などの安全資産に預けるものですがバフェットは自分の考える投資法に自信を持っていたため、会社の資産を拡大するための取り組みとして応用させたのです。
バフェットのやり方を我々個人投資家が真似をするのは簡単そうで結構難しいのですが、狙った企業に巨額の資金を投じてハンティングをするやり方は真似できない筆頭のようなものです。
ハワード・マークスの考え方はサイクルをイメージした「逆張り投資」です。今いる位置を確認した上で、振り子のサイクルがマイナスに触れている時がマークスの考える投資タイミングで、誰もが投資するタイミングではないとネガティブな印象を持つ時期に投資をすることで安価に資産を購入できるという考え方です。
現在は乱高下した結果、米国株は最高値から20%ほど下がっています。
株価が下がっていて慌てる人がいるような時期は「投資に適さないタイミング」と考える方が多いです。なのでマークスは狙いごろと思う部分があり、「買い」であると発言したのでしょう。
ただ荒れているので「慎重に、少しずつ」という話だと思います。
ハワード・マークスの考え方は
・価格が下落し、底に向かう途中に「掘り出し物」が現れる
・底に達したらその時点で掘り出し物はなくなり、バーゲンセールは終了する
というものです。
景気の底・株価の底打ちは「上昇の兆し」が出ることによって発生するものなのでこの考え方には納得感があります。
<マークスの考え方でバリューハンティングをする>
現在は
・一時的な調整
なのか
・サイクルの終焉
なのかの見極め時期だと思います。ここから恐らくは二番底と言われる更なる調整が入る可能性も織り込んでおく必要があります。
このためさらに株価は下落することを見越しているものの「(恐る恐るだけど)買い時」であると判断しています。個別株を中心に余裕資金を元に少し買い増ししました。
バリュー投資は「最適な購入価格の見極め」が非常に難しい投資方法です。
ピンポイントに買い時を探るのは難しいです。なので下落局面という広いレンジで捉えて最高値圏から落ちた良質の企業に対して追加投資(ハンティング)をしました。
また、今後は安全資産にお金が流れていくことになると思います。
なので債券やゴールドも買い増ししています。
<考えられるシナリオ>
大前提として個別株に関しては「さらに下がる可能性」を覚悟しておく必要があります。価格が下落したら含み損は膨らみますがこれは織り込みます。
一方でそうなった場合は安全資産の価格が上昇するので、ポートフォリオ全体のマイナスは軽減されます。さらに株価が下がれば安全資産の値上がり益の一部を「バリューハンティング第二弾」の資金に当てることもできます。
最悪シナリオは「デフレの加速化」です。このシナリオが現実化した場合は株式も安全資産も下落するのでどうにもなりません(お手上げ)。
基本的には「インフレに向かう」ものと考えていますが、パーフェクトな対策はあり得ないので自分が思うシナリオの中で一番可能性が低いものに関してはケアせずに起きてしまったら仕方がないという構えをとることにしました。