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株式投資方法を農業に例えてみる〜グロース投資とバリュー投資〜

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・グロース投資

・バリュー投資

はしばしば論争が起きるレベルでどちらが優れた投資法か議論が交わされます。

 

スタンスが真逆の投資方法なので、一見すると「どちらかを選ばないといけない」ように思われます。

 

しかし筆者はどちらか1つではなく「両立」できるのではと考えています。

 

その理由を投資方法を農業に例えることで説明したいと思います。

 

<1.グロース投資・バリュー投資とは?>

まずそもそもグロースとバリューの違いを説明します。

 

(グロース投資)

・企業の成長性に対して投資する

・企業のEPSなどの収益力が高く、伸びている銘柄が投資対象

・伸びている企業が株価を伸ばしている局面で投資する

このため、株価が上昇していればOK。下落したら売却という判断となります。上昇局面に素直に乗っかるため順張りの投資方法です。

 

企業の成長性(伸び)が大きければその分、獲得できる収益が増えるため成長ポテンシャルはもちろんですが、「株式市場が上昇局面であること」が投資条件となります。

 

市場全体が下落するような局面ではグロース投資は手を出しにくくなります。

 

(バリュー投資)

・企業の内在価値に対して投資する

・企業の内在価値が株価よりも高い銘柄が投資対象

・内在価値に対して株価が伴っていない段階〜株価が上昇した局面で投資する

このため、株価が伸び悩んでいる時が投資チャンスとなります。

また内在価値の見極めが必須です。上昇している時に投資し、上がり切ったところで売却することになります。

 

下落局面で購入することになり、株価の動きに逆らう逆張りの投資方法です。

 

企業の内在価値と株価のギャップが大きいほど獲得できる収益が増えるため、企業の財務状況・内在価値はもちろんですが、「株式市場が下落局面を迎えていること」が投資条件となります。

 

市場全体が上昇している局面ではバリュー投資は手を出しにくくなります。

 

(2.市場サイクルは4つの季節で構成されている)

ここで株式市場サイクルの話をします。

 

株式市場は

・株価の底を過ぎて、上昇している状態

・株価が全体的に上昇し、ピークを迎えている状態

・株価のピークを過ぎて、下落している状態

・株価が全体的に下落し、底を迎えている状態

の4つに分類できます。

 

上から順に春夏秋冬というわけです。

 

(3.グロースとバリューに適した季節)

「1.グロース投資・バリュー投資とは?」ではグロースとバリューを対照的であることを説明しました。

 

「2.市場サイクルは4つの季節で構成されている」では市場サイクルを四季になぞらえて表現しました。

 

グロースに適したタイミング、バリューに適したタイミングがそれぞれあります。適したタイミングというのは

・収益が最大化しやすいタイミング

・損失が最小化しやすいタイミング

のことです。言い方を変えるとタイミングを逸すると利益が少なくなり、損失リスクを受けやすくなります。

 

このため、グロース投資に適した時期とバリュー投資に適した時期が存在します。

 

・グロース投資は上昇局面に素直に乗っかるので春〜夏にかけてが投資に適した時期。

・バリュー投資は下落局面で逆張りに乗っかるので秋〜冬にかけてが投資に適した時期。

ということになります。

 

(4.まいた種はいきなり芽を出さない)

ここからが本題です。

 

グロースとバリューに適した時期があることは何となく分かりました。

 

さてグロースとバリュー。特にバリュー投資は「芽が出る=収益に繋がる」までに時間がかかります。

 

グロース投資は投資をした後はすぐに利益が乗っかるようになってきますが、「そういう銘柄を探す期間と投資を始めるタイミングを測る期間」が必要です。

 

つまり

・畑を耕し

・種をまき

・果実が実って収穫し

・冬場を過ごす

という農業のサイクルのようなものとリンクします。

 

・畑の耕しは「購入候補銘柄のリサーチ」

・種まきは「銘柄購入」

・収穫は「現金化」

・冬支度は「現金の貯蓄、もしくは株式以外の資産にシフト」

するイメージです。

 

季節のサイクルに沿ってグロースとバリュー投資をするのであればこういったサイクルになります。

 

冬から春:バリュー畑に種をまく

春:バリュー畑の果実化、グロース畑を耕す

春から夏:グロース畑に種をまく

夏:グロース畑の果実化、バリュー畑の収穫

夏から秋:バリュー畑を耕す

秋:グロース畑の収穫

秋から冬:冬支度

冬:じっと我慢

 

つまり、それぞれの投資で収益が最大化する市場局面に向けて準備をする時期を同じく市場局面を元に決めることができれば両立は可能ということになります。

 

ただしかなり労力がかかります

 

ビニールハウスを活用して好きな時に種をまいて温度調整をして収穫時期をコントロールした方が手間がかからず圧倒的に楽です。

 

・個別株のグロース投資、バリュー投資:畑の露地栽培

ETFインデックス投資:ビニールハウスを活用した栽培

という違いに例えられます。

 

(5.露地栽培は簡単ではない・・・ただし・・・)

市場サイクルに応じて、仕込み方を変えればグロースとバリューの両立は可能です。

農業で言うと「二期作」が可能です。

 

ただこれは言うほど簡単ではありません。

・今が何の季節か自分で見極めないといけない(誰も教えてくれない)

・季節が順番通りにやってくるとは限らない

・やたら1つの季節が長い場合がある(異常気象)

 

1番はやはり順番が担保されていないことだと思います。

 

市場サイクルを季節に例えると非常に分かりやすいのですが、反面「春夏秋冬順番にやってくるもの」と誤解してしまう可能性があります。

 

春の後に必ず夏が来るわけではなく、いきなり秋になったりすることもあります。

なのでせっかく畑に種をまいても「芽が出ないまま終わってしまう」可能性があります。これはグロース・バリュー両方に共通する大きなデメリットです。

 

しかも今が夏なのか、秋なのかは誰も教えてくれません。様々な情報を自分で分析する必要があります。唯一わかりやすいのは冬です。これはメディアなど様々なところで情報を教えてくれるからです。

 

つまりグロースにせよバリューにせよこれらの投資をするには、露地栽培で農業にチャレンジするのと同様に下準備と手間ひまをかけて努力する必要があります。

 

準備と努力を回避して果実を収穫したいのであればビニールハウスを使った方が確実です。

 

これは個別株投資とETF投資信託)投資の関係と同じです。

 

ではなぜわざわざ手間のかかる露地栽培を選ぶのでしょうか。

 

それは露地栽培には

・オーダーメイドに栽培できる

・栄養価の高いもの、味がとびきり美味しいものができる可能性がある

・希少な野菜、果物を育てることができる(希少だから上手くいけば多くの収益が得られる)

・労力をかけることの喜び、楽しみ

といった特徴があるからです。

 

専門家ではないので全ての野菜・果物がこの例に当てはまるかはわかりませんが、よくTVなどで紹介されるブランドものの野菜・果物は凝りに凝った方法で栽培し、準備から収穫まで手間ひまをしっかりかけています。

 

これと同じで個別株投資は効率性は二の次で、少しでも市場や機関投資家のパフォーマンスに勝つために銘柄選定から売却まで様々な角度から分析し追いかけていくことが収益(果実)を獲得する近道です。

 

最初は上手くいかない可能性のほうが高いのですが、経験を積めば上手くいく可能性は少しずつ高まります。

 

また何より、育てる喜びがひとしおです。この喜びが長く続けるモチベーションとなるのでバカにはできません。楽しむ投資にはある種必要な要素と言えるかもしれません。

 

<まとめ>

少し話があちこちに飛びましたが、市場サイクルを軸にグロース・バリューの特徴を整理すると双方は対立するものではなく「得意とする時期が違うだけ」というのが筆者の見解です。

 

なので

・どちらか一方に注力する

・両方を上手く組み合わせる

どちらでも成立すると思います。ただし、組み合わせるには知識と経験が必要ですし、勉強を継続するモチベーションがないと難しいので誰でも取り組めるものではないと思います。

 

その場合はどちらか一方を選択するのですが、そもそも個別株は露地栽培と同様の手間ひまをかける必要があるので片方に絞ったからといって楽をして良いというわけではないという点に注意が必要です。

 

ある程度リターン(収穫量)の内容が読めてしまう点で面白みには欠けますが、ETF投資信託といったビニールハウス栽培の方が時間と手間を軽減することができるメリットがあります。

 

どちらを選ぶかは自由です。絶対にどちらかでないといけないわけではないのが楽しむ投資の面白い部分だと個人的には思っています。