それっぽいタイトルにしてみましたが、マクロ経済的なお話です。
首相辞任やバフェットが日本の商社株を購入した話題などで盛り上がったため、少し旬を外した感じはしますがとりわけ重要な話題はパウエル議長のジャクソンホールでの発言内容だったと思います。
端的に言うと「インフレの実質的容認」です。金融政策上重要な転換点となる可能性があります。
ポイントをまとめます。
・アメリカは常に「インフレ率2%」を目指している
(インフレ志向なのは、経済を常に適度に温めておきたいからです)
・ところがこれまではインフレ率2%に達する前に景気の過熱感を警戒し、政策金利引き上げに舵を切る事が多かった
・今回のパウエル議長の発言はこの舵を切るタイミングをもう少し後ろに倒すことを容認したもの
・金利引き上げタイミングを後ろ倒しにすることで「インフレ率が2%を上回る可能性」が出てきた(ここが最も重要)
これを現在の政策を軸に言い方を変えると「ゼロ金利政策継続」ということです。
現状の金利をそのまま据え置くということです。
マーケットが懸念していたのは金利の上昇でした。ゼロ金利政策はあくまでコロナによる一時的なものであり、いずれは元に戻る。あるいは引き締めにかかるのではないかと懸念していた訳です。
政策金利は継続なので、金融政策(QE)でコントロールする部分はあると思いますが、「経済状況にブレーキを掛けるようなことはしませんよ」とアナウンスしている訳です。なのでアナウンスを踏まえて各資産の購入方針を検討した方が良いということです。
<3つの資産に注目すべし>
パウエル議長の発言は足元の株価を押し上げたり、経済状況を劇的に変えるものではありません。あくまで青信号であるものは「当面青信号のまま」と宣言しただけです。
このため
株式:○→○
債券:×→×
現金:△→△
コモディティ:○→◎
ということになります。コモディティに関してはインフレ率上昇により、物価が上昇するとコモディティには追い風になるのでこの中では唯一ポジティブに変動する資産となります。
現金はあくまで「債券が割りに合わなくなる分だけマシ」というだけで、積極的に保持することは避けた方が良いです。物価が上昇すると相対的に現金の価値が下がってしまうため、現金を積立してもメリットは低いです。
では何を購入した方が良いか。特に以下の3つではないかと思います。
1.株式(特に配当成長株)
株式はNASDAQ銘柄、ハイテク・SaaS関連がぐんぐん伸びています。
今後も伸びるかはワクチンの状況次第だと思いますが、NASDAQ銘柄は一時的にダウンしても中期的に見ると決算が継続的に良い企業はさらに伸びると思われます。
ただインフレ率が上昇する局面では配当株とりわけ「配当も出す成長株」に注目が集まるのではないかと思われます。理由は
・インフレ率の上昇を補填する配当が得られる
・高配当株にはない「元本の成長」が期待できる
この2点です。成長性を残しているので元本は膨らみます。その一方で配当も得られるのでその利回りは低いですが、幾らかインフレ率上昇による損失を補填してくれる効果が期待できます。
配当成長株はAAPL、MSFT、Vが代表格ですが、VIGやDGRWといったETFの構成銘柄が該当します。なのでVIGやDGRWも注目です。
2.ゴールド
金(ゴールド)は引き続き注目です。最高値を更新したゴールドですが、インフレ率が上昇すれば最高値をさらに更新する事が期待できます。
ETFや投資信託を持つもよし、余裕がある方は現物を買うもよしだと思います。
先ほども述べた通りコモディティは上昇が期待できます。コモディティは選択肢が少なくETFや投資信託はランニングコストも高めなのでゴールドで十分。余力がある方はコモディティ全般に投資する投資信託やシルバーも検討して良いと思います。
3.物価連動債
債券は今後も厳しいと思われますが、唯一異なるのは物価連動債です。
物価連動債は「元本が保証され、インフレ率が上昇すると元本にプラスされる債券」です。
商品の特徴から「インフレ局面に非常に強い資産」です。
反対にデフレに非常に弱いので経済状況を常に見ておく必要がありますが、今後しばらくは現状の金利が維持され、インフレが実質容認されるのであれば輝きを放つ資産になると予想されます。
物価連動債は債券を購入するのも良いですが、売買が自由にできるETF(TIP、VTIP)の方が扱いやすいのでオススメです。