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米国株デビュー講座を再読する〜第8章 株式投資のリスクについて〜(このシリーズ最終回)

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じっちゃまの米国株デビュー講座を深掘りするシリーズ。今回が8回目。最後です。

 

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最後は「株式投資のリスク」についてです。

一般に言われるリスクと投資におけるリスクは違うとされています。

一般に言われるリスクは「危険性」と同義、投資におけるリスクは「変動幅の大きさ」のことを指します。

 

さて見ていきましょう。

 

※記事からの引用は斜体で記載しています。

 

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冒頭リスクは

1:市場リスク
2:信用リスク
3:流動性リスク

あると書かれています。

 

<市場リスク>

市場リスクは、主に価格が変動することによって引き起こされるリスクです。

典型的な市場リスクは金利リスクです。既に説明したように金利が上昇するとそれは株式の価格にとってネガティブな影響を与えます。従って、金利が動けば、株価も心配しなければいけないという連鎖反応が起こるわけです。

金利と株価はシーソーの関係です。

金利が上昇すると預金金利が上昇するので、元本が保証され変動性が少ない預金にメリットが生じ、変動リスクのある株式購入のメリットが薄れます。

 

金利は政策要因で変動するので、株価の状況問わず金利(この場合の金利は10年債、長期金利を指します)の上昇はリスクとなります。

 

<信用リスク>

信用リスクは取引の相手先が倒産するなど、主に信用面でのリスクを指します。例えば取引先がたくさんの株式に投資していて、もし、市場リスクのせいで株価が急落し、その結果、信用担保リスクが発生した場合は、市場リスクが信用リスクへと発展します。

 

信用リスクは個別株投資にとってある種最大の問題と言えます。

信用担保リスクが発生した場合、最悪は企業の倒産に繋がるのでポートフォリオに大きなダメージを与えることになります。

 

流動性リスク>

流動性リスクという概念は分かりにくいかもしれませんが、ざっくばらんな言い方をすれば「サクサクとトレードできない」リスクと考えていただければいいです。

 

あまり意識されないリスクである流動性リスクですが、コロナショックによって「サーキットブレーカーが発動」し、取引できなくなる問題に直面したのは記憶に新しいところです。

 

サクサクトレードできないと

損切りしたい株が売却できない

・暴落したから購入したいと思った株が購入できない

ということになり、予定していたところと着地点が変わってしまうことになります。

 

投資戦略を考える際、特に暴落をきっかけに取引する戦略を考えている場合は流動性リスクを視野に入れておく必要があります。

 

ただ一番怖いのは・・・

市場リスク、信用リスク、流動性リスクなどが複合することで、市場や経済のシステム全体が機能不全に陥る場合があります。2008年のリーマン・ショックはその好例です。このような複合リスクのことをシステミック・リスクと言います。

 

システミック・リスクが最も怖いと思います。

恐怖感も合わさると株価が下がる期間が長くなり、〜ショックと呼ばれる長期的な下落・暴落期間に繋がる可能性が高くなります。

 

コロナショックの場合、市場リスクが抑えられ金融不安に繋がらなかったのが大きかったと思います。アメリカを始め各国の中央銀行の政策が適切であったことも好影響を与えました。

 

<リスクとの向き合い方>

ここで皆さんに理解していただきたいことは、リスクをゼロにすることが、必ずしも最善の状態とは言い切れないという点です。

(中略)

人生というもの自体が、リスクの連続であり、それらのリスクを忌避し、自分の殻に閉じこもると、普通の人が享受する、さまざまな人生の楽しみ、喜びというものすら体験できなくなってしまうのです。

 

リスクは人生につきものであり、リスクによって人生に幅をもたらすものということです。日本人はゼロリスク信仰があるので、リスクと聞くと全力で回避しようとする傾向があるように思います。私も投資を始めるまではそうだったと思います。

 

投資によってリスクと向き合う・リスクと付き合って上手くコントロールする方が変化をポジティブに受け止める事ができると思うようになりました。

 

株式投資もこれと同じで、リスクをゼロにするということは、ただ現金を抱え続けるということを意味し、黙っていてもジリジリ上がっていく生活費に対し、自分の現金の購買力が低下することを、何もしないで見ていることになるわけです。

 

現金の価値というとピンとこない部分がありますが、持っている現金に対して購入するモノの値段が上がってしまうと購買力が低下し徐々に苦しくなっていきます。

この時現金も一緒に増えていけば良いのですが、高金利にならない限り増えていくことはありません。金利が高いということはお金を借りる時の金利も高いということになるので、生活はそう楽にはならないので、高金利も歓迎すべき話ではありません。

 

となるとリスクをとって投資をする方が良いということになります。

 

ただし、

自分の許容できる範囲内でリーズナブルなリスクを取ることが必要になるというわけです。そのことをカリキュレーテッド・リスク(計算されたリスク)と呼ぶ場合があります。それは自分なりにリスクと折り合いをつけることに他なりません。

「自分の許容できる範囲で」という条件がつきます。

 

一般に個人投資家の皆さんの中には無意味なリスクを取る人が散見されます。もし自分の全財産を1銘柄だけに突っ込んだ場合、その銘柄が急落すれば大きな痛手を被ります。

 

集中投資に関してじっちゃまは否定的な見解を述べています。著作でも「生存バイアス」の話に触れ、集中投資で成功したのは一部の人のみ、その人が大々的に喧伝されるから集中投資にもメリットがあるというイメージが広まるとしています。

バフェットやマンガーが言った分散投資は無知へのヘッジ」という言葉がネガティブなものとして伝わったもの大きいと思います。

(個人的にこの言葉は成功者が一般層に殴りかかっているような印象があり、あまり好きではないです)

 

手持ちの投資資金との兼ね合いで、投資を始めたばかりの人はそんなに多くの銘柄に投資することはできないと思います。その場合はETF(上場投資信託)を買うことで分散効果を得ることができますし、もし、個別株を買う場合は極めて保守的な、退屈過ぎるくらいの銘柄から始めるのが良いでしょう。

 

インデックス運用からスタートし、価格変動や経済の仕組みが分かってから個別株を購入する。その際も値動きの大人しい保守的な銘柄を選ぶべきと言っています。

 

そして、資金が増えて銘柄が買い足せるようになったら、速やかに5銘柄くらいに分散する方が良いと思います。

 

ある程度仕組みが分かり、「理解が深まったら」資金に応じて分散すると述べています。これはデビューから経験者へ進む過程としてごく自然だと思います。分散→集中ではなく、集中(保守的な銘柄に限る)→分散ということですね。

 

さて、最近ではベア型のETFが登場しています。だから(相場が下がりそうだな)と思ったときは、マーケットが下がったときに株価が上がる、ベア型ETFを買うことでヘッジをすることができます。

それ自体、悪い発想ではないのですが、上で述べたようなシステミック・リスクが発生した場合は、資本市場の思いもかけなかった部分で脆弱(ぜいじゃく)性が露見し、せっかくのヘッジポジションがうまく作動しないということも起こります。

 

TwitterYouTubeライブでも度々述べている「リスクヘッジのための商品購入の否定」ですね。発想は良いものの、ヘッジのための商品をさらに買っていくのは「ややこしいことになる」ので避けた方が良いと暗に述べています。

 

本当にマーケットがギクシャクしてきたときは、「キャッシュが王様(Cash is King)」なのです。その場合は、自分のポートフォリオの持ち株を少し減らすことでリスクに備えたほうが、結果的には良くなる場合が多いのです。

 

大事なのは「持ち株を少し減らす」ことです。

いわゆる「全降り」は避けなさいということもじっちゃまはことある度に言っています。全降りはダサいとも言っていますね。

 

ポートフォリオがごちゃごちゃしてリスクが正しく捉えられないことにならないよう、ヘッジ商品やレバレッジ商品を回避してややこしい投資にならないようにした上で、例えば金利上昇の懸念がある、経済状況が悪化するサイン(決算が良くない、決算が良いのに株価が上がらないなど)が伺えたなど株式投資にアゲインストな状況になったら株式ポジションを少し落として現金を増やして守りを固めることを推奨しています。

 

リスクを調整するには分散を図ることと、全体のポジションの大きさを調節することの二つの方法がいちばんシンプルです。ヘッジを試みることもできなくはないですが、それはヘッジポジションが誘発する、新たなリスクを上乗せするような行為に終わる場合もあります。

 

シンプルですが、分散とポジション調整を繰り返す事が最も良い投資ということを述べています。

 

<まとめ>

全8回の講座深掘りを行いました。

 

デビュー講座で述べていることはどれも普遍的かつどの段階でも守るべき重要なものがほとんどだったと思います。

 

・まずインデックスから。その次は値動きの大人しい銘柄から始める

分散投資を心がける

・投資方法は自分でまず試して、一番収益があげられるものを選ぶ

・正しい型を覚える。短期投資・長期投資にそれぞれ正しいやり方がある

・順張り、逆張りも同様。正しいやり方を理解して実践する

金利や経済状況を観察する(今どういう状況に置かれているかを観察する)

金利や経済状況が株式投資にとって思わしくないのであればポジションを調整する

 

これを徹底し、決算を軸に評価をすることで勝率が高く長続きする投資ができるということになります。絶対の投資法はないので、じっちゃまのやり方でも難点・弱い局面はあります。ただ特徴を理解し正しく実践すれば幾らかはカバーできると思います。

 

そのためにもこの米国株デビュー講座を何回も読み込み、時折振り返ることで初心に帰ることが大事なのではないかと思います。

(じっちゃま唯一の著書、ハワード・マークスの2つの著書は定期的に再読した方が迷いがなくなります。オススメです)