じっちゃまの「米国株デビュー講座」を再読するシリーズ第3弾です。
今回は「株価評価のメカニズムを理解する」です。
※記事からの引用コメントは斜字で記載しています。
<良い会社はいつも割高だ>
株価には先見性があり、エキサイティングなストーリーはすぐに織り込まれてしまう傾向があります。
このため皆さんが(この製品やサービスは、いいぞ)と気がついてから直ちにその株を買っても、もう他の人たちに先回りされているので安く仕込むことは至難の業です。
これは投資をしていると必ず感じることだと思います。今だとアップルはすごく高いと感じますし、テスラやアマゾン。日本だとファーストリテイリングとか「何でこんなに高いんだと」と思う方もいると思います。
「良いものは高い」これは投資の世界にも当てはまります。
バリュー投資の基本原則は買値にこだわることです。なので、買うのはなるべく安くするのが基本です。でも良い企業は高くなりやすい上に下落局面で下落幅も小さいので安くなるのを待っているといつまで経っても買うタイミングがないということになります。
良い会社は、繰り返しワクワクする製品を出せるし、問題に直面してもすぐにそれに対処します。そして決算のたびにEPS(1株当たり利益)、売上高、ガイダンスの三つで、投資家の期待を上回ります。
そういう会社の株価は、最初は人気先行で取引されるので、割高に取引されています。
割高なのは止むを得ないということだと言えます。
投資家は、その企業が市場の期待にしっかり応えている限り、割高に取引されていることを恨んではいけません。むしろ落胆すべき決算を、忌み嫌う習慣をつけてください。
ポジティブな決算を出し続けている企業=割高になりやすい
落胆すべき決算を出した企業=株価が下がり安くなるので手放した方が良い
ということですね。ストーリーとそれに伴う実績を出した企業が割高になりやすいということはまず受け入れた方が良いということです。
これは伸び盛りの企業に限らず、成熟した安定感の高い企業でも同様でP&GやJ&J、ペプシコやコカコーラといった企業が簡単に下落しないのも同様と捉えるべきだと思います。安定した成熟した企業は決算・実績をコンスタントに出し、市場の期待に応えてきた過去があるからこそ今がある訳です。
アップル・マイクロソフトもストーリーと実績が長い期間継続し、今も続いているという化物みたいな企業だということです。
一度ダメな決算を出した会社は、3カ月後に訪れる、次の決算発表で、今度こそキッチリした数字を出せるかどうか観察してください。
そして次回の決算で良い数字が出せたとしても、まだそこでは「買い」ではありません。一度失敗をしでかした企業が投資家の信頼を取り戻すためには、2回、3回と良い決算を出す必要があります。もし3回連続してちゃんとした決算が出せたら、過去の過ちを水に流して、再び投資してOKでしょう。
ダメな決算を出した企業は売却しますが、敗者復活のチャンスはあるということです。
これは例えばコロナショックで決算がボロボロとなった企業でも再度投資するチャンスがあるということですし、何よりダメ決算=即売却を行うと「下落局面が予測しやすくなる」ということです。
これは景気動向が業績に反映されるような銘柄の場合
ダメ決算→売却
景気が上向き→好決算→好決算の繰り返し→再購入
ということになるので下落局面・停滞局面を回避することができるということです。
一方でコロナショックのパターンの場合、決算結果が出るまでに一気に下落しますし、コロナの影響が業績に反映されるまでに時間差が生じるのでコロナショックの下落はモロに受けることになります。これは致し方ないということです。
こういうふうに数字にうるさい投資方針を貫いていると、投資できる企業の数はだんだん減っていきます。でも投資とはそういうものです。
そうやって最後まで残った企業こそ、本当に素晴らしい企業です。
コロナショックにも耐えうるのは悪い局面でも良い決算を出せる企業ということです。こういった企業は投資先として超優良・ピカピカの銘柄ということです。
<個人投資家は情報面で不利か?>
かつては機関投資家の方が情報面で有利であったことを過去のエピソードを通じて説明しています。
それでは個人投資家は情報面で不利に立たされているのでしょうか?
私は、そうは思いません。なぜなら3カ月ごとに発表される、毎期の決算で、EPS、売上高、ガイダンスの三つが、ちゃんと予想を上回っているか? という「キホンのキ」さえ押さえておけば、個人投資家でも正しい銘柄を選択することができたからです。
個人投資家でも手に入れることができる情報を押さえておけば、間違いはないということを言っています。個人投資家が押さえることができる情報に「絞って」調査すれば良いということです。これ以上の情報収集は時間のムダともいえます。
さらに米国銘柄に関してはプレスリリースでの情報公開ルールができ、直接ヒアリングしてもお得な情報が手に入る時代にはならなくなったということです。
<株価収益率(PER)を使いこなす>
株価収益率(PER)が高い銘柄が必ずしも割高ではないという説明をしています。
第3章 株価評価のメカニズムを理解する | トウシル 楽天証券の投資情報メディア
グラフ等は記事をご覧ください。
ポイントは
・株価収益率で見た割高、割安は、そもそもその会社がどれだけ成長しているか? という視点を抜きにして議論することはできない
・3年以上先の予想EPSを元に妥当株価を考えることは、時間の無駄に等しい行為
・一般に高いPERで取引されている株は、ディサポイントメントが出た際の株価下落幅も大きいです。なお、ディサポイントメントとは、ここでは決算が予想を下回ることを指します。
という点です。単にPERが高い=割高、PERが低い=割安とは評価できない点は特に注意したいところです。
ただPERが高い銘柄は「株価へのインパクトが良くも悪くも大きい」という特徴は押さえておいた方が良いと思います。高PER銘柄投資は資産拡大を狙うのであれば避けては通れないですがネガティブサイドの振れ幅も大きいので高PER銘柄ばかり購入するのはリスクが高いと言えます。一方で低PER銘柄ばかり買ってしまうと今度は資産拡大スピードが遅くなる問題を抱え込むことになるのでこれも注意が必要です。
<ザッカーバーグは何故資産7.4兆円の長者になったか?>
マルチプル効果(multiplier effect)
がザッカーバーグを始めGAFAの経営層を長者へ押し上げたと書いています。
創業者がその会社をIPOすると、その会社が稼ぎ出している利益の何十倍、時には何百倍もの評価を投資家は喜んでつけるわけです。このマルチプル効果こそが、シリコンバレーでどんどん億万長者が生まれている理由に他なりません。
ザッカーバーグ(Facebook)もそうですが、何より高PER銘柄であるAmazonを率いるジェフ・ベゾスがマルチプル効果を発揮して長者へとのし上がったと言えます。
いまマルチプルはPERの倍率が高い企業ほど、破壊力を持ちます。その破壊力は、良い方にも、悪い方にも作用します。
良い銘柄、つまり決算で予想を上回ることができる企業の株価は、乗数効果を伴って雪だるま式に大きくなります。
悪い銘柄、つまり決算でディサポイントメントを出す企業の株価は、痛みが何倍にもなってはね返ってくるわけです。
ザッカーバーグやジェフ・ベゾスは良い例ですが、今の米国株は決算によって良い結果を出した場合の伸びと、悪い決算によって落ち込む凹みが大きく拡大してきています。
ダメな決算だと分かったら即手放さないと受けてしまうマイナスの影響がものすごく大きいということを示しています。成長性を期待してプラスのマルチプル効果を得るために高PER銘柄に投資をすること自体は良いのですが、マイナスのマルチプル効果を理解しておかないといけないということです。
じっちゃまが決算にこだわりを持つ理由が別の形で補強されたことになります。
低PER銘柄を組み込んだ方が良いケースもあります。それはマルチプル効果に翻弄されることがないので、安心して投資に取り組める部分が確保されているということです。安心して継続して投資することも大事なので、良い企業は割高であるということを頭に起きつつPERが下がっている安定感のある銘柄もフォローしておくと良いと思います。
これは初心者や保守的な投資家であれば押さえておくべきことでもあります。