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米国株デビュー講座を再読する〜第2章 良い会社の財務諸表〜

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じっちゃまの米国株デビュー講座をじっくり再読するシリーズの2回目です。

media.rakuten-sec.net

 

2回目のテーマは「良い会社の財務諸表」です。

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※記事内の言葉は斜字で記載しています。

 

<良い投資ストーリーと良い会社>

「良い投資ストーリーは星の数ほどあるけれど、良い会社はごく一握りだけでありそのメンバーは毎回コロコロ入れ替わったりしない」

 

良いストーリーは幾らでも生み出すことができます。

期待感を持たせる成長ストーリー、ワクワクするような製品・サービス、トレンド、ポスト○○、ESG、掘り出し物、割安などのキーワードに惹かれます。

 

特にIPO銘柄と呼ばれる若い企業はIPOリリースの時にキラキラした、興味を引く材料をこれでもかと打ち出してきます。

 

これらのストーリーは「売り手側」である証券会社・投資銀行が編み出しているものです。

 

なので当然ながら「ストーリーを盛っていること」を念頭に置く必要があります。ただストーリーはその会社に投資するかどうかを決める「最初のキッカケ」でもあり、蔑ろにはできません。ストーリーが良いというのは買う・買わないを決める重要条件でもあります。

 

でも良い投資ストーリーがあるだけでは、その投資は成功するとは限りません。

 

ここがポイントということです。良いストーリーを最低条件とし、そこにプラスして成功に導く条件が整っているかが大事ということです。

 

たいていの投資家は良い投資ストーリーを聞いた時点で、それに完全に魅せられてしまって、批判的精神を忘れてしまいます。その企業が、目標の実現に向かって着実に前進しているかどうか、チェックすることを怠るわけです。株式投資で、死屍累々(ししるいるい)たる犠牲者が出るのは、まさしくこの瞬間です。

 

これは耳の痛い話でもあります。ストーリーに魅せられてしまうと何があってもその企業の取り組みや業績を好意的に解釈してしまい、投資方針・ルールをねじ曲げてしまうことに繋がります。そして損失が拡大してしまうわけです。

 

投資をする上で最も注意しないといけない部分だと思います。

 

<失敗できない最初の決算>

決算投資法の核心に触れる話に移ります。

IPOする企業は、ビューティーコンテストのように良いストーリーを競います。つまりスタート地点では誰もがキレイに見えるわけです。でも、足腰の弱い企業がその馬脚を現すまでには1年とかかりません。なぜなら悪い会社は、決算を取りこぼすからです。まるで蚊取り線香を嗅いだ蚊のように、ポトポト落ちる会社が続出します。

 

じっちゃまの真骨頂「決算」が出てきました。良い決算を出すことが良いストーリーを強化する重要な条件であることを示しています。決算を取りこぼすことはあってはならないということです。

 

この後はじっちゃまが繰り返し述べていることです。

IPO後の最初の決算は絶対にしくじれない

・しくじらないように主幹事は「保守的、控え目な数字」を出すよう釘を刺す

・でも、あまりに最初の目標が控え目すぎるとIPOした時に目立たないから経営者は端々に自信を覗かせてしまう

・そういった攻防を経て最初に掲げた数字だが、それでもクリアすることが必須

 

ところが、驚くほどたくさんの企業が、そういう失敗をしでかします。「三つ子の魂百まで」ということわざがありますが、ダメな会社は、いつまでも学習効果なく、だらしない決算を続けます。

例えばSlackは最初の決算をしくじりました。その後も停滞が続いています。

Slackはサブスクリプション銘柄であり、本来ならコロナショックによって大きく伸びたはずです。ところが最初にしくじったことで後を引きずっているわけです。

 

一方でFacebookのようにその後挽回した企業もあります。

 

普通、機関投資家から愛想を尽かされた株は「ペニー・ストック」と言って二束三文の株価に落ちます。そのような株は安定株主が存在しないので、個人投資家の噂一つで株価が右往左往する、仕手性の強い株になり下がります。

最初の決算をしくじってはいけない理由が示されています。

良いストーリーでピカピカに光って株価が伸びていくはずの銘柄が機関投資家のカモにされてしまうと株価は乱高下しやすいです。そういった銘柄は手が出しにくくなります。

 

もし、あなたの投資した若い企業が、そのような決算の取りこぼしをしたら……その時はすぐに、その株を処分した方が良いと思います。

 

決算原理主義に従い、若い成長銘柄に投資する場合、絶対に守らないといけないこととして「決算を取りこぼしたらすぐに売却する」というルールがありますが、その理由は既に示した通りです。取りこぼした後は株価変動の波にやられやすくなり、保有しにくくなるからです。

 

<良い決算とは?>

良い決算とは、
1: EPS(一株当たり利益)
2:売上高
3:会社側ガイダンス

の三つの点で、全て市場予想を上回ることを指します。このうち一つでも予想を下回れば、それは良い決算ではないのです。

 

じっちゃまの書籍、TwitterYouTubeをご覧の方なら何度も何度も聞いたことだと思います。この3つを守れたかどうか。逆に言えばこの3つだけチェックしておけばOKということでもあります。

 

こうして毎回、「これでもか、これでもか!」と市場の期待を上回る好決算を出すと、投資家はその会社の経営陣に深い満足を覚え、大袈裟な言い方をすれば、しびれるようなエクスタシーを感じます。それは「神話」の誕生と言っても良いかもしれません。このように有言実行で、毎回、数字で応えてくれる企業だけが、良い会社なのです。

 

良い決算を出す条件は、決算を重ねるごとに厳しくなっていきます。市場予想(コンセンサス予想)のハードルが徐々に高くなるからです。さらに市況・経済状況も絡んできます。コロナショックのようなことが起きると逆風が強まります。

 

それでも厳しい条件を乗り越える力強い企業が、大きく成長し最終的にダブルバガー、ファイブバガー、テンバガーという成功ストーリーを描くということになります。

 

つまり良いストーリーを持った企業が毎回課される決算というハードルを乗り越えて投資家の信頼を得て良い企業としての地位を確立するということになります。ハードルをクリアした企業こそ真の良い企業ということです。

 

毎回の決算で、きっちり数字を出してくることを繰り返していると、いずれその企業は赤字会社から黒字会社へと転換します。

さらに営業マージンがジリジリと拡大しはじめます。また営業キャッシュフローもだんだん膨らんでいきます。負債を返済し、無借金経営になります。そして、気がついたときには財務的にピカピカの存在になるわけです。

これが生まれたての企業が良い企業になるまでの動きでもあるわけです。

・ピカピカの存在になるかもしれない候補を探す→成長株投資

・既にピカピカ、あるいはかつてピカピカだった企業に投資する→安定株投資

ということです。

 

成長ストーリーの具体例としてIPO後のスターバックスと2016-2018年のスターバックスの比較をしています。今はコロナの影響で伸び悩んでいますが、企業の成長過程は王道を歩んでいたことが分かります。この基本軸がブレない限りはいずれまた投資チャンスがくるものと思います。

 

さらにゴープロのIPO直後のチャートを引き合いにIPO直後の不安定さを説明しています。不安定が故に投資する側からするとつい心配してしまう投資家心理を書いています。

 

でも、長年の風雪に耐えて、ずっとしっかりした決算を出し続けた企業は、ちょっとのことではビクともしない、安定感のある企業に成長します。

 

テンバガーを夢見る成長株投資家はどうしても若い企業、これから伸びていく(かもしれない)企業に集中しがちです。それは資産を増やしていく段階の投資家にとっては致し方ないことです。でもポートフォリオに安定性の高い企業・優良企業を加えることにもメリットはあります。

 

だから皆さんが枕を高くして寝たいというのであれば、私は迷わず優良株を買うことをおすすめします。

 

これが一番の理由ですね。優良株はホームランは狙えないですが、ヒットを重ねることで収益を上げる確率を高めていくことも長く続けていく上で大事なことです。

 

<信頼しても構わないが、検証を忘れるな!>

まとめです。

 

世の中には、単なる良い投資ストーリーと、良い会社が、似て非なるものだということを理解している投資家が少なすぎます。

 

だから良い投資ストーリーに巡り合ったくらいで、ぬか喜びしないでください。良い投資ストーリーは、出発点にすぎません。

 

そしてレーガン大統領のエピソードからキーワード「信頼しても構わないが、検証を忘れるな」が導かれます。

 

我々の投資も、これと全く同じです。良い投資ストーリーを信じるのは皆さんの勝手ですが、その会社が夢の実現に向けて着実に前進しているかどうかを毎期の決算でちゃんと検証することを忘れないでください。

 

毎期の決算をきちんと確認し検証することによって、良い企業を見つける精度を高めることができるということです。ここが決算投資法の「肝」だということです。

 

良いストーリーだけに闇雲に乗っかるのはホームランばかりを意識して大振りになっているバッターと同じです。スイングを研究し相手ピッチャーと試合状況を丁寧に観察し分析することで打率を上げて結果として長く続く結果を残すプレーヤーになる。そういったイメージが根底にあるのかなと思います。

 

・決算を見る

・決算を検証する

・上記を継続するために見るべきポイントを最小化する

このルールを守ることが重要というわけです。