コロナショックにおけるバリュー投資について分析しています。
私個人としてはバリュー投資の方が取り組みがいがあって面白いとは感じています。
ただバリュー投資のノウハウを学習して以降「最適な購入タイミング」がなかなかないなと思ったらコロナショックで株価がガツンと暴落。
良し!買い時だ!!と思ったらそれは一瞬で過ぎてしまったということである程度トライできたものの、物足りない状況ではあります。
ただこれは米国株に関してのお話です。
米国以外のマーケットはまだ株価の上昇が追いついていない状況です。それは
・日本や欧州は元々停滞・低迷が続いており伸び悩んでいた
・新興国もドル安の影響などアメリカに頭を押さえられる形で伸び悩んでいた
にも関わらずコロナショックによってガツンとやられてしまった
という要因が影響しています。
日本株についてはバリュー投資になり得ると書きましたが、新興国はどうでしょうか。
結論から言うと
・将来のGDP成長率の高さが期待できて
・現在の価格が割安であれば
バリュー投資先として今の段階から目をつけておいても良いのではないかと思います。
ただし、いますぐに投資するべきかどうかは慎重に判断するべきです。
<レイダリオの分析>
全天候型ポートフォリオでお馴染みレイダリオですが、彼は今後10年の各国の成長性の詳細な分析を行っています。分析項目は非常に多岐に渡っているため割愛しますが、それをまとめたものがこちらです。
・上位はインド、中国、メキシコ、アルゼンチン、タイ、シンガポール
・アメリカの成長性は+1.6%。これはレイダリオの分析以外でもこの先10年のアメリカの成長率は1.5~2.5%程度とされ、2010年代ほど成長は期待できないと言われています
・日本、欧州はアメリカよりもさらに下回ります。評価としては厳しいです。
<上位となった国の特徴>
・人口ボーナス(インドやメキシコは人口増加率が高い)
・若年層が多い
・金融、テクノロジー、製造といったコアとなる業種で強みを発揮している
まさに「新興」という言葉が適している国が並んでいます。
デフォルト(債権放棄)を度々起こしているアルゼンチンが成長するというのは今ひとつピンとこないですが。
<新興国への投資の考え方について>
最初に先ほど触れた通り現時点で新興国投資に関しては慎重に進めた方が良いです。
これは
・コロナウイルスの影響がまだ見えていない点
・コロナウイルスが落ち着いた後にどういった状況になるかが見えない点
・対ドル、対アメリカの影響が見えていない点
に懸念があるからです。
中国は既にピークアウトしましたが、インドなどはまだこれからさらに影響が出てくる可能性があります。コロナが落ち着いてもかつての状況に戻らない可能性もあります。一方でコロナを機に様々な部分が一変して一気に台頭する爆発力も秘めています。
対ドルに関しては当面は「一旦ドル一強になる見込み」のため、ドル負債が多い国にとっては負担が増えることになります。対アメリカに関しては既に燻りが起きていますが、アフターコロナにおいてアメリカと中国の覇権争いが再燃する可能性が高いですし、再び中国が押さえ込まれる可能性があります。
レイダリオはアメリカの覇権が歴史的に見ても長くは続かないと想定しており、そこに迫っているのが唯一中国であると評価しています。
つまり足元はアメリカ中心に進んでいくが、それは長くは続かずドル・アメリカに変わる新たな覇権を握るものが出てくると想定しています。それゆえに新興国に着目しているのです。
インドの人口はいずれ中国を抜くとされています。
人口が多い国が高い経済成長性を示すという図式に当てはめると2020年代はインドの年代になると見る向きもあります。ITに強く注目ですがパキスタンとの紛争、金融不安がネックです。
素直に考えるとアメリカと中国が米ソ冷戦時代以来の2強体制になる可能性が高いと思います。となるとアメリカサイドだけに投資するのではなくアメリカと中国の両方に投資するというのも良いと思います。
ということで新興国へ拙速に投資するのではなく、少し観察をして趨勢を見てから投資するのが新興国投資の適した構えなのかなと思われます。
<新興国投資の方法>
・VTを購入する
・VWOを購入する
・新興国の個別株を購入する
上に行くほどリスクが小さくなります。下に行くほどリスクはありますが、リターンの効率性は高まります。
VTは50%以上がアメリカですが、15%程度新興国に投資しています。
つまり「どの国が伸びるか予想するのが面倒」「どの国が伸びるか予想したくない」人向けの投資方法です。投資に時間もコストもかけたくない方はVTに投資して放置で良いと思います。
VWOは中国メインに新興国全般に投資します。ここで注意しないといけないのは「新興国の定義」です。ETFや投資信託の場合エマージングマーケットの対象国がファンドごとに微妙に変わります。VWOはバンガード社のETFですがシンガポールは含まれていません。
新興国は伸びると思うけど、その中でどの国が台頭するか分からないという方はVWOが良いと思います。
新興国のETFは「どの国が伸びるのかを予想して投資する」場合に適しています。つまりアクティブに新興国に関わることになります。的を絞るので外した場合のリスクを懸念しないといけません。VTやVWOはほぼ全張りですが、個々の新興国のETFは外した場合はマイナスとなりますが、VTやVWOに投資してハズレの国にも投資するという事態は回避できます。
さらに的を絞るのが「個別株投資」です。
ただし、個別株投資は「個々の企業の業績」が影響するのでその国が伸びる伸びないに関係なく投資した企業がダメダメだとやられてしまいます。
<アフターコロナに適した投資先とは?>
私はこういった先が適していると考えています。
・強固な強みを有した国、あるいは強みがある企業が多い国
・アメリカと台頭に渡り合える要素がある国
・米中の対立の影響を受けない国
具体的にはやはり中国は外せないと思います。アメリカとの対立が激化しても、中国の国力の高さによって中国経済圏を強化するシナリオは十分に考えられます。
もう1つはシンガポールです。シンガポールは香港に変わる世界の金融・貿易の中心になるのでないかと予想されます。米中の対立が深刻になり、香港の状況が危うくなるシナリオが実現した場合シンガポールの台頭という可能性があるのかなと思います。
ポイントは1つの軸に絞り込みすぎないことだと思います。
山を張るよりも分散した方が良いと思います。またバリュー投資をするのであれば割安な時期に投資資金を注ぎ込みたいですが、最初は少しずつドルコスト平均法で投資をして問題ないと思ったら一括投資に切り替えるようにした方が読み間違いなどのアクシデントが起きても影響が軽減されます。