あえての断言です。
投資診断士として投資について分析する際は、極力断言は避けます。
「絶対にやってはいけないこと」「避けないと危険なもの」は断言しますが、それ以外は可能性を示唆するところまでを基本として踏み込みは避けます。
これは投資は「不確実性に対してお金を投じること」という側面があり、不確実だからこそ断言は避けた方が良いという思いがあるからです。また受け止める側の事情はそれぞれなので「最終的には見た側が判断すること」という部分があるからです。
でもiDeCoのポートフォリオに関しては断言して良いと思います。
<まず商品について>
iDeCoで扱う商品は証券会社ごとに異なりますが、大半は「全世界株式」「オールカントリー」というキーワードで見つけることが出来ます。信託報酬は0.11%程度です。海外ETFよりは高いですが、これでもiDeCoの商品ラインナップの中ではマシな方です。
<なぜ株式が良いのか>
このグラフが物語っています。もっともこのグラフ自体は1800年からのものなので、そもそも昔過ぎて意味がないよねという論もあります。また日本市場に限定するとバブル時最高値を未だに更新できていない点もあり、「株式は全て右肩上がり」という論は何にでも当てはまる万能な論拠ではないです。もしかしたら50年100年スパンでいつか更新する日が来るかもしれませんが。
それでも世界的目線で見た場合、株式はなお右肩上がりであるという点に疑いはないです。現金以外は資産価値が向上するということになりますが、iDeCoに投資できる商品に限定すると株式が最も可能性が高いことになります。
新興国債券はボラティティに限れば株式に匹敵しますが、強みを発揮する局面が限られます。インフレが進んだ場合価格が下がってしまう点もマイナスです。
<なぜ全世界が良いのか>
10年、20年後の未来は予測できないから
です。これはiDeCo最大の特徴である「60歳まで引き出せない資金拘束性」によるところが大きいです。つまり「60歳-自分の年齢=投資期間」なので50代の方が始めるというケース以外は少なくとも10年以上は投資期間を確保した状態からスタートします。
一方で10年以上先の未来を予測できる力は我々にはありません。
過去10年、20年の変化の状態は確認できます。世界的に見ると20年でだいぶ変化していることは実感していると思います。大枠ではアメリカを始め先進国がリードする状態は変わっていないですがそこに入っていこうとする国は中国を始め増えてきています。
過去の状態をもとにある程度類推できたとしても、想定外の事態が起きないとも限らないので「想定外も含めて投資する」形にした方が賢明です。それゆえの「全世界」です。
現状で言えば「米国株」も選択肢に入ると思います。アメリカの経済成長性は無視はできません。ただ20年、30年投資する先として考えた場合、一国に集中するよりも「その国も含めた全て」としておいた方があれこれ思い悩まなくて済みます。
投資の途中から切り替えるのは難しいので、最初から全ての世界に投資し、バランス調整はファンドにお任せした方が簡単で手っ取り早いです。全世界ターゲットの株式ファンドは「時価総額(株価×株数)」によって調整されるので今後例えば中国・インドが台頭して来たらそれに応じてバランスが調整されるので買い替えが不要となります。
<株式一択で良いの?>
それでも「株式一択」という不安はあると思います。
1つ気をつけておくべきポイントがあります。それは「資産全体でポートフォリオを考える」ということです。
・NISA
・個別投資
・貯蓄
・会社の福利厚生(企業DC、持ち株、財形貯蓄など)
・本業、副業収入
・手当て、支援など
これら全体でポートフォリオ構築を考える必要があります。iDeCoオンリーという方はあまりいないと思います。個別の投資をやらない方でもiDeCo+貯蓄+本業収入というポートフォリオはできているはずです。
iDeCoを始める方は個別に投資商品を買っていくことを検討している方も多いと思います。この場合、株式以外の商品は個別投資枠やNISA枠を活用した方が良いということです。
というのもiDeCoの商品ラインナップは
・そもそもラインナップが少なすぎる
・信託報酬が高いものも含まれている
・全て円建て
という特徴があり、例えばiDeCoだけで全天候型ポートフォリオを設定したり、偉大な投資家の真似をするといったことをやろうにもそもそも選択肢が少なすぎるというわけです。
さらに信託報酬の問題もあります。わざわざ高い信託報酬の商品に手を出さなくても、他でもっとリーズナブルな良い商品を買えば良いという訳です。
なのでiDeCoはシンプルな選択肢に留めて資金を集中し、資産拡大を図っていくことをオススメします。株式投資の不安・リスクヘッジを他で行うことでiDeCoによる「マイ年金」を引き出すタイミングでの暴落などリスクを軽減することが可能です。