投資において重要なのは「ポートフォリオ作り(資産配分)」です。
株式、債券、金、コモディティにどの程度配分するか。
ここで鍵を握るのは「リスク許容度」です。
リスクの字義的解釈である「変動幅」をどの程度受け入れるかの割合ですが、リスク許容度は客観視できるような指標や材料があるわけではなく、主観に基づく部分です。なのでパッと数字に示したり、その内容を元にこういった資産配分にするという明確な答えがないというのが実情です。
なのでリスクを多く取り過ぎるケースが多いとされています。主観に基づくため、状況を楽観視・過小評価しやすいからです。
今回は投資をこれから始める方向けにある程度客観的に分かりやすい材料を提示し、その上で「目指すべき資産配分例」を説明したいと思います。参考になれば幸いです。
<リスク許容度の明確な測り方>
リスク許容度はご自身の「失っても構わない資産の割合」で測りましょう。
これは投資商品は原則として「投資元本以上にマイナスとなることはない」というところから来ています。
(レバレッジや信用取引をしていない限り、投資による最大損失は元本の全損です)
このため、最大値である全損=100%とした場合、ご自身が投資、つまり金融商品に投入したお金のうち「戻ってこなくても問題ないと思える範囲」の明確化が重要です。
ここで注意したいのはリスク=振れ幅と考えてしまうことで、リスク許容度として設定した割合が期待できる最大リターンと誤解してしまう点です。リターンはあくまで投資商品とその割合に応じて導かれる部分で、リスクを多く取ったからといって直接リターンに影響するとは限らない点は注意する必要があります。
あくまで「失うと困る割合」です。
なぜ損失のみに目を向けるかというと損失が明確化することで「心理的に影響を及ぼすから」です。
損失額がリスク許容度を超えると
・狼狽売り
・追加投資のためらい
・投資からの撤退
など非合理的な行動に走る可能性があります。
リスク許容度の範囲内に収めることで、投資を長く続けることができるというわけです。
<リスク許容度測定>
ではリスク許容度の測定案を提示します。
これはあくまで投資診断士である私個人の考えに基づく判断基準なので、参考として活用ください。
例えば、こういった感じです。
リスク許容度1:損失5%以内
リスク許容度2:損失5%から15%
リスク許容度3:損失15%から25%
リスク許容度4:損失25%から50%
リスク許容度5:損失50%以上
リスク許容度4,5は先日のコロナショックぐらい(約30%)なら全く問題ないと思えるという判断基準になります。
リスク許容度1は正直株式投資をするのであれば普通に起こりうる損失割合ですが、少しでもマイナスがあっては困るという方はリスク許容度1になります。
なお、投資した資産総額に対しての損失割合なので「生活防衛資金」は除きます。
また現金も投資の一部なので、物価引き上げ等で現金の価値が毀損しても損失に含まれます。まあ現金だけで-5%になるとは思えませんが。
<リスク許容度別参考ポートフォリオ>
リスク許容度が決まったら今度はポートフォリオの調整です。
鍵を握るのは「株式への投資割合」です。株式が最もブレ幅が大きくなるからです。
リスク許容度1
・株式、債券、ゴールド(実物資産)、現金に25%ずつ投資する
・もしくは債券投資家になる
・現物株式には株式投資しない
いわゆるパーマネントポートフォリオです。株式・債券・実物資産・現金は特徴と長所・短所が全て異なります。これを1/4ずつ投資してバランスをとります。
株式の割合を25%以下にすると今度は資産拡大の可能性が低くなってしまいます。
株式はどうしても嫌だということであれば社債などを織り交ぜて、債券投資家を目指すことになります。また個別株はほぼ確実に損失割合5%を超えるタイミングが出てくるため、回避しましょう。
リスク許容度2
・株式:30%、債券:55%、ゴールド:15%の割合で投資する
・債券に不安があると感じた方はゴールドの割合をもう少し増やす
リスク許容度1より株式割合が増えます。これはレイダリオの全天候型ポートフォリオを参考にしています。
リスク許容度3
・株式:60%、債券:40%の割合で投資する
・債券に不安があると感じた方はゴールドの割合をもう少し増やす
さらに株式の投資割合が増えます。60/40というアメリカなどでオーソドックスなポートフォリオと言われています。
リスク許容度4
・株式:50%、債券:15%、ゴールド・実物資産:35%の割合で投資する
・個別株投資にチャレンジする
モハメド・エラリアンのモデルポートフォリオを参考にしています。実物資産は株式同様にブレ幅が相応にあるのでリスク許容度3より株式の比率は下がりますが、リスクは高いです。またリスク許容度4までくれば個別株投資にチャレンジするだけの「心理的余裕」があると判断できます。
リスク許容度5
・株式:90%、債券:10%の割合で投資する
・個別株投資を積極的に行う
これはウォーレン・バフェットのモデル・ポートフォリオです。株式メインの投資と言っても過言ではないです。ここまで来れば単にインデックス投資やETFの積立をするだけではなく、足りないと思う部分を個別株投資で補うなどアクティブな投資をするためのリスク許容度を備えているということになります。
でも、リスク許容度5は相当チャレンジングです。投資スタートアップ段階では簡単に選択するべきではない点、強調しておきます。誰しも憧れるバフェットですが、真似をするのはかなり大変です。この件はいずれ改めて解説します。
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