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【投資診断士考察】一括投資とドルコスト平均法〜どちらが良いかを考える

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現金について考察すると必ずぶつかるのが

・投資資金を一気に投入する方が良い(一括投資)

のか

・段階的に毎月コツコツ投入する方が良い(ドルコスト平均法

のか

という悩みです。

 

一括投資とドルコスト平均法は集中投資・分散投資と同様、しばしば議論の対象になります。今回は一括投資とドルコスト平均法どちらが良いのかについて考察します。

 

<最初に結論>

全ての現金を「投資する」or「 一部残しておく」で考えるのではなく「生活防衛資金」と「現金」で分けて考えるのと同様、一括orドルコストではなく「一括」と「ドルコスト平均法」の両方をうまく組み合わせて活用するというのが私の意見です。

 

 

「一括」と「ドルコスト平均法」の両方をうまく組み合わせて活用するとはどういうことでしょうか。

 

<まずそれぞれの投資方法の特徴を>

一括投資は文字通り、投資資金を一括で投入する投資法です。

(メリット)

・手数料などの投資コストの削減が図れる

・右肩上がりの投資商品の場合、ドルコスト平均法より収益は多くなる

 

(デメリット)

・高値を掴むリスクがある

・投資開始タイミングを逡巡する可能性がある

 

ドルコスト平均法は、一定のサイクル(大抵は毎月)で一定の金額を段階的に投入する投資法です。

(メリット)

・平均購入価格を引き下げることができる(ずっと右肩上がりのケースを除く)

・投資開始タイミングに関係なく、一定の効果が得られる

 

(デメリット)

・手数料がかかる

・右肩上がりに動いている時は収益が一括投資より悪くなる

 

一括とドルコストのメリット・デメリットは基本的に表裏の関係です。ゆえにどちらが良いかの議論が巻き起こりやすくなります。

 

<では改めてどちらが良いのか?>

50000円を5ヶ月間投資する場合、

1.一括投資の場合

1ヶ月目:50000円

2ヶ月目:0円

3ヶ月目:0円

4ヶ月目:0円

5ヶ月目:0円

 

2.ドルコスト平均法の場合

1ヶ月目:10000円

2ヶ月目:10000円

3ヶ月目:10000円

4ヶ月目:10000円

5ヶ月目:10000円

となりますが、これは「投入金額」のお話です。

 

投資金額で考えると

1.一括投資の場合

1ヶ月目:50000円

2ヶ月目:50000円

3ヶ月目:50000円

4ヶ月目:50000円

5ヶ月目:50000円

 

2.ドルコスト平均法の場合

1ヶ月目:10000円

2ヶ月目:20000円

3ヶ月目:30000円

4ヶ月目:40000円

5ヶ月目:50000円

となります。一括投資は50000円を5ヶ月間投資しますが、ドルコスト平均法では50000円投資するのは最後の1ヶ月のみです。

 

これは投資エクスポージャー(価格変動リスクを晒している期間)観点で評価すると一見多くのお金を晒している期間が長い一括投資の方がリスクがあるように見えますが、

・機会損失

・リターン

の観点で言うと含み益・インカム共に投資エクスポージャーが大きい分、一括投資の方が有利になります。

 

またドルコスト平均法はリスクが少ないと言われていますが、50000円投入していない1ヶ月目〜4ヶ月目に関してはともかく、5ヶ月目は一括投資とリスクの度合いは同じになります。ドルコスト平均法もリスクは最終的には一括投資と同じ(変わらない)ということです。

 

先が読めないのが投資なので1ヶ月目に最大の収益を得るケースもありますし、5ヶ月目に暴落する可能性もあります。ドルコスト平均法だからと言って暴落リスクが低減されるわけではありません。

 

では一括投資が良いのか?

その前に「将来は誰にも予測できない」という部分をもう一度考えないといけません。

投資する時は先々どうなるか分からないけど、伸びることを期待して資金を投じるわけですが、予測できない部分は不安感しかありません。

 

なのでドルコスト平均法を採用し、「最初のうちは少しずつ資金を投入する」ことにメリットが生まれます。不安を払拭するために一度に資金を投じるのではなく段階的に投入することで投資に慣れるということです。

 

つまり投資を始める段階、スタートアップの段階ではドルコスト平均法の方が、適していると言えます。理論上は一括投資の方が収益が高まる可能性が高いと言ってもそれを初心者がいきなり実践できるかというと難しいところがあると思います。

 

<分けて考える>

ここで1つ整理しておきたいことがあります。それは「積立投資」です。

そもそも積立投資とドルコスト平均法は同義に扱われやすいですが、積立投資は購入ペースの話でドルコスト平均法は「価格が高い時に少なく購入し、価格が安い時に多く購入する方法」のことです。

 

積立投資を毎月一定額継続すると「結果的に」ドルコスト平均的な買い方になるだけで積立投資=ドルコスト平均法ではありません。

 

なので「買い方」としては積立投資と一括投資は両立します。一定サイクルの中で余剰資金を一気に投入すれば一括投資ですし、それを定期的に継続すれば積立投資になります。

 

言葉遊びの感じになってきたので話を戻します。

 

積立投資を「同一商品への継続的な投資」と置き換えて考えた上でもう一度、一括とドルコストの話に戻します。

 

理論上は一気に資金を投じた方が良い。でも不安は残るということを踏まえると

・「自身のリスク許容度の範囲」で

・その時所持している余剰資金(現金)を

・一気に投入する

のが望ましいと言えます。

 

基本的には一括投資の方が

・投資エクスポージャーが大きく

・得られる可能性があるリターンが大きく

・購入コストがかからない

ので有利ですし、現金の価値は時間が経過すると減少することもあり、現金はなるべく早く金融資産に移した方が賢明です。

 

ただし、一気に投じるのは不安感が先立ちます。故に「リスク許容度の範囲で」という前提がつきます。この場合のリスク許容度とは例えば50%まで損しても良い、全額損しても良いなど自身が許容できる損失範囲のことを指します。

 

投資する方の大半はサラリーマンなど、「定期的に得た収入を定期的に投資する方」がほとんどです。このため、結果的に資金投入タイミングはドルコスト平均法的に毎月ということになると思います。

 

つまり、自身や家族が生活するのに困らない分の資金を除いた残りの金額を毎月全て投資する形が望ましく、これが冒頭に書いた「一括」と「ドルコスト平均法」の両方をうまく組み合わせて活用するということになります。

 

当然まとまった資金が得られた場合は、必要資金とリスク許容度上許容できない資金を除いた残りを一気に投じた方が良いということです。