高配当株投資を行っている方にとっては大きなニュースだと思います。
RDS.B(ロイヤル・ダッチ・シェル)が66%の配当引き下げ(減配)することを発表しました。記事のタイトルにある「第二次世界大戦以降初」という言葉に重みを感じます。
RDS.Bはこれまで減配せず高配当を維持してきました。欧州最大のエネルギー企業という点もあり高配当銘柄を志向するからなら誰しも購入を検討している。そう言っても過言ではないと思います。
株価は下がっています。
元々コロナショック、原油暴落という逆風が吹いていたエネルギーセクター。とりわけ石油会社はかなり厳しい状況に置かれていましたが、減配はさらに追い討ちをかけることになります。
こちらでも触れましたが、配当は企業にとってはあくまで株主還元の最終手段なので連続増配・高配当で株主を惹きつけている銘柄が減配・無配に舵を切ると人気が落ちて株価が下落するリスクがあります。税金・インカムゲインの減少・株価の下落の三重苦です。
にもかかわらず私は一時期RDS.Bにわずかですが投資をしていました。
エネルギーセクターは逆風でしたが、その中でもクリーンエネルギーなど次世代に向けた取り組みをしている財務基盤が安定している企業であれば割安なだけでいずれは上昇するだろうと見ていたのですが、原油の状況を見てまだ投資は早計と判断し手を引いています。引いたタイミングは「たまたま」暴落の前でしたし今回の減配の前だっただけで自分の分析の甘さを反省するばかりです。
<改めて高配当投資の注意点について>
さて反省の弁はこれぐらいにして、本題です。
配当金をベースとした投資方法は以前より人気があり、それを高配当の個別銘柄で実現するにはどの企業に投資したら良いかの解説ブログは検索すると相当数出てきます。
今回のRDS.Bの減配ニュースは個別株による高配当投資の注意点を改めて伝えてくれています。それは「特定銘柄に依存しないこと」です。
例えば
・配当利回りが高い企業ばかりをメインに構成する
・配当(インカム)で食っていくにはそれなりに投資資金を投じないと実現しないので、なるべく少ない企業に多くの金額を投資する。
といったことをするとターゲットとしている企業がRDS.Bのような事態に陥ると一気に苦しくなります。
配当は毎期必ず決まった額が出るとは限りません。
連続増配・高配当はウリではありますが、安定性を保証してくれるものではないという点は注意しないといけないと思います。
減配・無配対策は「銘柄の分散」ですが、分散すると資金がなかなか貯まらずに目標達成までに時間がかかるジレンマがあります。
銘柄分析の際に
・配当性向が高い銘柄
・特定要因に左右される可能性がある銘柄
・財務基盤が危うい銘柄
が見抜けるかどうかが鍵を握ります。複数銘柄に分散することで特定銘柄がダメでも他で補うことができますが、最低限5~7銘柄の分散はした方が良いと思います。
またそもそもですが、貯金の延長線上で預金利息よりも多くのインカムが得られることを「主目的」として高配当先に投資をするのであればETFの方が無難だと思います。
で書いた通りETFであっても毎期の配当が一定であるとは限らないですが、それでも高配当個別銘柄よりはマシだと思います。個別株で高配当ポートフォリオを実現するのであれば銘柄分析の徹底はもちろんですが、ルール作り、特に今回のコロナショックのような大きな影響を与えるトピックが起きた時にどう対処するのかは予め明確にしておくべきだと思います。
例えば減配・無配に転落したら即売却するなどです。
<最後に>
今回のRDS.Bの減配判断は後々英断と評価される可能性があると思います。
というのも「無理に配当を出すことでかえって苦しい状況に置かれる」危険性があり、それを未然に防いだという見方もできるからです。
財務状況・キャッシュフローが芳しくないときは株主還元よりも自社の立て直しを優先するべきという考え方は本来は批判を受けやすいですが、コロナショックのような未曾有の事態が起きたときは価値観が変わる事態でもあるわけで、今回・場合によっては次回以降も減配したことで立て直しペースが早まるのであればRDS.Bの評価はひっくり返るかもしれません。
注目はしておくべきだと思います。