この記事の最後に触れた
>・配当金再投資による複利運用での資産拡大
>・エクイティ・ボンドという概念
>といった部分が「配当って素敵」という誤解に拍車をかけているのでは
について解説します。
<配当金は再投資するべきだが・・・>
投資は「複利」で運用することにより、資産拡大を図ることができます。
単利よりも複利の方が資産拡大スピードが増えるため、元本に対して単純に積み増し投資するよりは配当などの収益も再投資した方が良いという訳です。
ここまではいかなる投資方法でも関係ありません。
問題は「再投資のために配当を多く得た方が良い」という錯覚してしまうことです。
配当は
・強制的な利益確定(将来得る利益を先取りしている)
かつ
・確実に税金を取られてしまう(配当は税引き後に引き渡し)
というデメリットがあります。
なので
・設備投資や自社株買いをしている企業に投資して
・株価の上昇益を貰ってそれを再投資する
方が「現在」の収益を得られる分リターンは大きくなります。
配当は再投資した方が良いですが、優先順位はあくまで株価上昇によるリターンです。
<エクイティ・ボンドとは?>
ウォーレン・バフェットが考えた概念です。
優良な企業に投資することは利益の成長が予測可能な企業に投資することと同じであるとし、債券と異なり株式は価格が上昇するため元本が成長する債券に投資をするようなものという考え方です。
元本が膨らむ債券であれば、債券よりも利回りが低くても最終的なリターンは債券を上回りかつリスクも低いという訳です。
エクイティ・ボンドは株式でありながら債券の特徴も有しています。なので「配当」が「利子」に当たります。
債券も定期的に利子を受け取り、満期まで保有していれば元本が返ってきます。
株式は売却しない限りは定期的に配当を受け取るので、満期の無い優良債券に投資しているのと同じことということなのですが「利子」の受け取りはあくまでエクイティ・ボンドにおける付随的なメリットです。
あくまで「元本が膨らむこと」が最大のメリットなので誤解しないように注意したいのですが、債券のような安全な投資というイメージで捉えてしまうと「成長性に乏しく、値動きが横ばいの企業」にもエクイティ・ボンドの概念を適用してしまう危険性があります。
バフェットは「企業が稼ぐ利益の安定的拡大」があるからこそ、株価が安定して右肩上がりになると考えている訳で配当のことは念頭に置いていない点に注意しましょう。
配当はそもそも「収益の株主還元の最終手段」なので、投資先を考える際にも優先順位は最後にするべきです。
誤解を回避して、「良い企業」を探しましょう。
それが難しいと思った方は、インデックス投資に集中した方が良いと思います。