JR東日本の四半期決算が発表されました。
結果は
・収益は増収
・利益は減益
という結果でした。
連結決算は増収減益。
営業収益は8期連続の増収かつ、第3四半期決算としては過去最高。
一方、物件費の増加や台風19 号に係る特別損失の計上などにより全ての利益が減益。
運輸事業は、総合車両製作所の売上が増加したが物件費が増加したことなどにより、増収減益。
流通・サービス事業は、台風19 号の影響や工事支障による閉店の影響などにより、減収減益。
不動産・ホテル事業は、「渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)」の開業効果などにより、増収増益。
その他、ICカード事業やクレジットカード事業の売上が増加したことなどにより、増収増益。
ということで事業によって明暗が分かれました。
大きな影響を与えたのは台風19号による被害です。さらに物件費(資材)の増加もダメージとなっているようです。
細かく分解すると
・不動産、ホテル、ICカード、クレジットカードはプラス
・運輸事業、サービス事業はマイナス
という評価になると思います。
鉄道会社への投資分析をした際に本業以外の取り組みについて分析しましたが、図らずも本業は資材費の増加と自然災害がネックになりましたがそれをカバーするようにソフトウェアともいうべき本業以外の取り組みが支えになっています。
今後もこの傾向は変わらないと思われますが、短期的にはオリンピックによるインバウンド需要が期待できます。このため2020年度は流通・サービスと不動産・ホテル事業でポジティブな目標設定が掲げられています。
公益性の高い鉄道会社は短期的な需要の波よりも、先々を見据えた取り組みが収益・利益に繋がるかどうかが鍵を握ります。
新駅(高輪ゲートウェイ)の開業、及び周辺の開発を始め不動産・ホテル関連の取り組みはより一層拡大すると思われます。
今後鉄道事業単体では利用者数が頭打ちになり、資材費用が急激に値下がりするとも思えないのでこの方向に力を入れ過ぎてもジリ貧になる可能性があります。
その点では運輸よりも不動産・サービス事業に力を入れようとしている取り組みは理に適っていると評価します。
短期的には業績予想を下方修正しているので下落傾向になる思います。
公益性の高い企業は経済全体が良くない状況で力を発揮します。
収益の源泉が損なわれない限りはこういった企業を「秋・冬の備え」としておいても悪くないと思います。その収益の源泉を多様化させている点を個人的には評価ポイントに挙げています。
ただ成長性を期待している方は敬遠した方が良いとは思いますが。。。