ソーシャルレンディングとはお金を借りたい会社(借り手)とお金を運用して増やしたい人(貸し手)をマッチングするサービスのことです。
投資家の目線で見ると小口のお金の貸付をする代わりに元本+利息が貰えるというものです。
クラウドファウンディングの投資版と捉えると分かりやすいかと思います。
クラウドファウンディングも出資度合いに応じてリターンが得られますが、ソーシャルディンデングは貸付投資の色合いが濃くなります。
筆者は当初この仕組みを「次世代の投資法」と捉えていました。
事業への貸付、出資というやり方が気になっていた
(昔やっていたマネーの虎という番組のように、事業内容に共感してお金を出すというものをイメージしていました)
のと単純に利息が普通預金よりも圧倒的に高いからです。
つまり
・一定の期間資金を拘束させることである程度のリターンが得られる
・事業にほんのわずかでも貢献できる
という点で次世代感があるかなと思った訳です。
ただ、実際やってみると思っていたのと違うなと感じています。
また将来性も危惧しています。
理由は
・簡単に申し込めない(すぐ満額になってしまう)
・単にお金を入金するだけになってしまう
・魅力ある商品が少ない(不動産ばかり)
・貸付先と運営でダブルのリスクがある
といった点です。
簡単に申し込めないのはものすごくストレスです。
大半の商品は申し込み開始したらあっという間に満額になってしまいます。
最近は抽選方式など改良されている部分もありますが、基本的には申し込み開始の時間に画面に張り付かないといけません。
感覚としては人気のコンサートやスポーツ観戦のチケットを購入するようなものです。
時間が拘束されるのに、確実に申し込みできる訳ではないというのがイマイチだなと思いました。
2つ目はクラウドファウンディングとの最大の違いですが、経過報告などが全くないため「単にお金を入れて満期が来るのをじっと待つだけ」で面白みがありません。
面白みがない分、下手にいじったりすることもないので良いのかもしれませんが事業に貢献している醍醐味は当初思っていたよりも感じられませんでした。
3つ目はFundsなど一部そういった部分をなくそうとしているところもあるのですが、ソーシャルデンディングの大半が「不動産関連」です。要は○○にビルやマンションを建てるのでその費用の一部を負担するといったスキームが割と多いです。
不動産に関しては不動産投資やREATといった商品が既に確立されており、REATと異なり売買の自由度が低い不動産関連のソーシャルレンディングをやるのであれば出資金額を高くした方が良いのですが(その分リターンが大きくなる)、確実に申し込みできる訳ではないので安定的に稼ぐのは難しいです。
そしてこれが一番大きいですが
・確実性が高いと利率がかなり小さくなる(預金+αレベル)
・利率が高いものは貸付先、運営共に倒れてしまうリスクがある
という点です。
スキームの性質としてはほったらかしですが、リスクは相応に高いです。
元本保証もありません。
各社最悪の事態を回避する手立ては講じていますが、過去に事故を起こしている運営会社もあり、信頼性という観点ではまだ危うい部分があります。
株や債券などの金融商品は危なくなった場合、引っ込めることができますがソーシャルレンディングは引っ込められない商品もあります(解約自由な商品は利率が小さい)。
資金拘束性が高いから(その分リスクを負っているから)高い利率が得られる訳ですが、仕組みとしてそうであっても投資商品として安易に人に勧められないなと実際にやってみて感じています。
<将来性は?>
ソーシャルレンディングは登場したばかりの頃に比べるとだいぶ下火になっているという印象を受けています。
先に挙げたような問題点の改善は一部図られていますが、抜本的にはあまり変わっておらず競争が激化しているというよりも小規模な取り組みが幾つか盛り上がっているという段階のままです。
貸付先を後悔するようにするなど信頼性を高める取り組みが功を奏し、ほぼ確実に申し込める状況ができてようやくメリットが出てくるかなと思います。
その意味でFundsには期待していたのですが
ラインナップをみると大半が不動産で新規事業を後押しするようなワクワク感もある取り組みには至っておらず、期待ばかりが先行しているのではないか?そんな段階なのかなと感じています。