政治的経緯はもっと以前からですが、相場の観点からすると今回の波乱はソレイマニ司令官への爆撃から始まりました。
2019年末はアメリカ市場を中心に盛り上がりを見せる形で終わりました。最終日のダウ平均を始めアメリカの株式相場は最高値圏で終了し、好調を示しました。
それが年初から一変します。
<アメリカ相場の動き>
1/2:年末の好調さを引継ぎ最高値を更新
1/3:リスク懸念から株式全面安、エネルギー先物・金相場が値上がり
1/6:値下がりにブレーキがかかり再上昇
1/7:イランの報復行為を受けて、再び株式が全面安となりエネルギー・金・仮想通貨が値上がり
1/8:トランプ大統領の「武力行使回避」発言を受けて、株式は反転上昇
日本の相場は1/6から1日遅れで反応する形で相場が上下しました。
<リスクオンとリスクオフ>
・リスクを取ってリターンを得ようとする行為:リスクオン
・リスクを回避して損失を防ぐ行為:リスクオフ
リスクオンモードが発動すると株式を中心にリスクの高い資産が買われます。
よって株価が上昇します。
投資におけるリスクは「変動幅」のことです。従ってマイナスに触れるリスクを負ってその分のプラスを得る行為がリスクオンです。
反対にリスクオフモードが発動すると株式のようなリスクの高い資産は嫌気されます。
株式は売られ、株価は下落します。
その分、「安全資産」にお金が流れます。金や債券が買われますが、今回の中東リスクのような世情不安を起因とした場合、お金が流れやすいのは「金」です。
さらに安全資産ではないですが、エネルギー(原油)などの先物取引やコモディティ(商品)にもお金が流れ込みます。仮想通貨も上昇しました。
年初からのリスクオンとリスクオフの行き来によって「各資産でどういった動きをしていたかが」非常にわかりやすい形で現れたのではないでしょうか。良い勉強になったとも言えます。
<株式も金も値上がりしている?>
・株式が値上がりときは金は値下がりする
・株式が値下がりするときは金は値上がりする
というのが基本的な関係性ですが、ここしばらくは「株式も金も」価格が上昇しています。
金が40年ぶりの高値という報道が出ている一方でアメリカを中心に株価も上がっています。セオリーとは異なる動きです。
この理由は2つあると推測しています。
1.市場全体で「万が一のリスクヘッジ」の動きが継続している
2.金利引き下げと金融緩和の影響
株価は上昇していますが、どこかで「万が一暴落したらどうしよう」という不安が過ぎっているのかなと思います。株式保持のリスクヘッジとしての「金購入」という理由。
もう1つが重要なポイントで、金利引き下げと金融緩和により「市場にお金が余っている状態」が生まれています。金利の引き下げも金融緩和も投資資金の拡大に繋がります。
企業活動や投資の刺激になり、景気の上昇が図られます。投資資金も流れてくるので株価は上昇しやすくなります。
一方でこの状況下で今回の中東リスクのような問題が生じると株式からはお金を引っ込めようという動きが発生しますが、FRBを始め中央銀行はその間も資金供給として短期国債の購入を継続しています。
となると「投資資金の行き先」を探すことになるわけですが、その行き先の代表が「金」なのではないかと思われます。
FRBは株価の暴落を食い止めようとしているので、資金供給を継続しています。市場がどういった状況でもジャブジャブ資金を流し込んでいるので株式も金も上昇しやすい状況が発生しているのではないかと思われます。
<今の状況への対策は?>
楽しむ投資を継続するには市場から退場しないように長く継続することが大事です。
このため、今の状況では株式の好調さに乗っかるようにしつつも、心のどこかで安心を得ることができるように「安全資産」はポートフォリオに一部組み込んでおくべきではないかと考えます
・現金を確保する
・金や銀を購入する
・債券を購入する
といった対策を立てておく。ただあまり安全資産に傾けすぎても長期的にはプラス幅が縮んでしまうので、10%〜20%程度を目安とすると良いのではないかと思います。
筆者は銀に資産を預けたばかりでしたが、今回まさにこれが精神的安心をもたらしたのだと捉えています。
株式が暴落するのであれば反対に銀は上昇するはず。これが安心材料として「株価の動きをある程度冷静に見ることができた」のではないかと思います。
年初からの動きは非常に勉強になりました。