「銀投資」と聞いて何をイメージするでしょうか。
株式や債券や金の他にも投資できる商品があるのですが、ここでは「銀」について取り扱います。
<1.なぜ銀に投資した方が良いのか>
金に投資する、金が値上がりしているという話はしばしば耳にします。
「有事の金」という言葉が有名ですが
・天災や戦争など非常事態
・株価が暴落するなど、経済状況が不安定な時
・物価が上昇している時(インフレの時)
に金は値上がりする性質を持っています。
現金や株式が不安定な時に、「安全・安心を生み出す」資産として金に注目される時に価格が上昇します。何故なら金は非常に生産量が少なく、希少価値が高いからです。
では銀はどうでしょうか。銀は2つの特徴があります。
・1つは貴金属としての価値
・もう1つは工業用品としての価値
この2つを有しています。貴金属としての価値は金に軍配が上がりますが、有限資産のため銀も一定の価値を持っています。
ただ、もう1つの特徴である工業用品としての価値は経済動向や物価に応じて変動するため、銀は金よりも値動きが激しいのが特徴です。
金とはやや異なる性質は持っているものの、銀は金同様に有事の備え・不況やインフレへの備えとして適している資産です。
その割に銀は金よりも割安です。
銀と金の価格差を示すGold/Silverレシオですが、現在80倍以上の値をつけています。これは銀が金に対して割安であるということを示しています。
金は2019年末に「40年ぶり」の高値をつけました。
40年前といえばバブル崩壊よりも前です。
依然として金は安全資産の代表格ではありますが、既に価格が上昇しているので新たに手を付けるにはハードルが高くなっています。
(なお、株式だけではなく金も価格が上昇しているというのはセオリーとは異なることである点にも注意しておく必要があります)
そこで安全資産の2番手として銀の存在価値が高まると見ており、銀に投資した方が良いと考える理由です。
<2.安全資産を確保しておいた方が良い理由>
・株:景気が好調な時に値上がりする
・金と銀:景気が不調な時に値上がりする
株と銀(金)の価格は通常逆の動きをします。2019年末時点では共に上昇しているので恐らくは「経済状況が好調だけど不調にも備えた方が良いという動きが始まっている」と思われます。
資産運用のセオリーに従うのであれば、株だけではなく、株と逆の値動きをする商品(相関性の低い商品、相関係数がマイナスの商品と言います)を保有しておくと資産の下落幅が抑えられます。
金を保有した方が良い理由、銀を保有した方が良いのは資産全体における相関性を下げることが最大の理由です。
ロバート・キヨサキは金投資、銀投資を推していますが金を購入する資金がない方に向けて銀投資を推奨しています。金投資の入門編としての銀投資というイメージです。
<3.銀投資のデメリット>
これまでメリットを中心にまとめましたが、ここではデメリットを挙げておきます。
(銀投資のデメリット)
・利息がつかない、配当金を出さない
・金のように価値が高まらない可能性がある
・価格が乱高下した歴史がある
1つ目は金と同じデメリットです。金も銀も保有することで利息はつかないですし、配当金も出ません。このことから預金と同じようには扱えないですし、長期保有に向かないという意見を挙げる方もいます。
金や銀は経済状況悪化に備える保険と捉えた方が良いと思います。違いは掛け捨てではないということです。持っている限りは価値を保持しているので、売却して現金に替えることが可能です。
金と銀は同じタイミングで値段が動くわけではないので、「金が上昇しているのに銀はなかなか上昇しない」というケースもあり得ます。なので金の代わりに銀を保有した場合、金の効果を期待したのに期待に応えられなかったという可能性もあるということです。
このデメリットに関しては「銀にも希少価値がある」というところをどこまで信じられるかによって評価が変わってきます。以前は通貨の価値を担保するための金属であった銀。生産量も限定されているため、価値が毀損されることはないと考えられるかどうかだと思います。
金と銀の価格差が気になる方は金に投資した方が良いと思います。
割安でこれから上昇する、少なくとも現金よりも価値が保全される
と考えられるかどうかです。
最後のデメリットは注意が必要です。
2011年に銀は大幅に上昇しました。これは有名な投資家の大量購入情報がきっかけとされています。経済状況や需給に関係なくバブル的に上昇するケースは反動も大きいため非常に注意しないといけない部分です。
<4.銀投資はどうやって行う?>
では銀投資に興味を持った方はどうやって購入すれば良いでしょうか。
方法は大きく分けて3つあります。
1.現物を購入する(シルバーBar(銀地金)、銀貨)
2.積立をする(純銀積立)
1.現物を購入する(シルバーBar(銀地金)、銀貨)
30kgから購入することが可能です。銀の塊ですね。
田中貴金属や三菱マテリアルといった貴金属取扱業者に行くことで購入可能です。
30kgの銀の塊だとかさばりますし、保管の手間もかかります。
銀貨であれば保管の手間は軽くなります。アンティークコインを扱うお店、金貨で検索するとコインの販売業者がヒットしますがそういったところで購入する方法もあります。
銀地金にしてもコインにしても「保証がしっかりしていること」が大事なので、ネット業者やネットオークションで購入するよりも保証がしっかりしたところで購入することをオススメします。
またSBI証券などの証券会社でも購入することが可能です。
現物購入は手数料がかかります。また自分で保管しない場合は保管料が取られる場合があります。
2.積立をする(純銀積立)
では金属に対しての積立投資ができます。
(商品名は「純金」ですが、銀やプラチナも対象です。)
また先に触れたSBI証券などの証券会社でも積立投資を行なっています。
一度に多くの購入資金が用意できなくても資金の一部を毎月コツコツ積み立てることで銀の備えをすることができます。
積立投資のメリットは
・少額で購入できる
・自分で投資額をコントロールできる
点です。
デメリットは
・手数料の高さ
です。
例えばSLVというETF
純銀上場信託というETF
といった銀の指数(価格を決める要素)に連動する投資信託やETFを購入する方法です。
指数に連動しているだけなので「実際に銀が手に入るわけではない」点に注意が必要です。銀の価値上昇メリットを享受することは可能ですが、実際に銀を手にすることができないので厳密には銀投資ではなく、銀をベースとした金融資産投資である点が他と異なる点です。
ETFなので購入の「手間」がかからないことが最大のメリットです。
不安だ、面倒だという方はETFから始めてみるのが良いと思います。
ロバート・キヨサキの考え方だとETFは金融機関が裏付けたものに過ぎず資産としては「フェイク」ということになるのですが、裏付けが崩壊するほどの状況というのは余程のことなので余程のことまで気を配るかどうかという話でもあります。
以上、銀投資の紹介でした。まとめると
・銀は金にほぼ近い特徴を持っているが割安である
・銀は金同様に安全資産として有効である
・価格の乱高下、利息を生まない点に注意
・貴金属取扱業者、証券会社で購入可能
ということです。
なお、あくまで自己責任でご判断ください。