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【投資法考察】株式投資法について考える〜その2

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株式投資法について考える〜その1」

 

www.enjoy-investment.net

 

では過去の経験(勉強不足だったのは否めません)をベースに株式投資法に関数考察ポイントとして

 

・将来伸びていく企業に投資すること

・株価の下落に耐えてでも配当金(インカムゲイン)を得ること

のギャップが何故起きてしまうのか。その要因を挙げました。

 

その2では要因について掘り下げます。

 

<ギャップが起きる原因とは>

・投資に関する様々な方法が入り乱れてしまっている

・投資に関する様々な言葉の意味を誤解している

 

例えば

・割安株への投資

・配当金再投資による複利運用

・バリュー投資

・グロース投資

・短期投資、長期投資

・「良い企業は最終的に右肩上がりに伸びる」

・バイアンドホールド

・アクティブ運用、インデックス運用

配当利回り

・高配当、連続配当銘柄投資

といった言葉です。

 

これらの言葉の

・特徴

・メリット、デメリット

・組み合わせられるものとそうでないものとの区別

といったところが整理できているかどうかだと思います。

 

1つずつ整理してみましょう。本来の意味と誤解を招く要素に分けてまとめます。

 

1.割安株への投資

(意味)

・株価が「割安」と判断した銘柄に投資すること。

 

(誤解を招く要素)

・「割安」の定義(適正な価格はいくらなのか)が明確でない

・PERはあてにならない。

 

購入価格が本当に割安かどうか、一般投資家が見分けるのは凄く難しいです。

何故なら「基準が明確ではないから」です。

 

割安かどうかの目安に使われているPER(株価収益率)はPER=株価/1株あたり純利益(EPS)で求めることができ、PERが低いと割安とされています。

 

ただし以下の点で必ずしもPERは当てになりません。

・期待感が大きくなるとPERは膨らむ(株価が上がりやすいため)

・利益が減少してもPERは膨らむ(EPSが減少するため)

 

 

PERの値は変動しやすいため、その数字が割安・割高であるかを正確に見抜く根拠にはなりにくいのです。

 

2.バリュー投資

(意味)

株価がその企業の内在価値に比べて割安に取引されている時を見計って投資する「スタイル」のこと。1.の割安株と同じ意味合いで用いられています。

 

(誤解を招く要素)

・内在価値と株価の比較が必要だが、「株価」にばかり注目が集まりやすい

・株価が下がっている銘柄を買うことではない

・配当金狙いとセットではない

 

バリュー投資は割安株投資とほぼ同じ意味ではあるのですが、バリュー投資は投資法でありスタイルでもあります。

 

言い換えると

・銘柄選定の基準

・売買の基準

を明確にするためのものです。

 

バリュー投資の意味と必要なことを正しく理解していないと

バリュートラップに引っかかる(価格が単に安い銘柄を掴んでしまう)

・正しい買値が見極められず、割高な銘柄を掴んでしまったりなかなか購入できず、収益を上げる機会を逸してしまう

ことになります。

 

真に「バリュー」であるかの見極めは結構難しいです。バリュー投資に必要な財務諸表と数字の分析を怠ったり、数字の意味を正しく理解できないと「バリュー投資に適した企業が見極められない」ことになります。

 

何より適切な買値の見極めが大変です。中途半端な理解のままだとチャートだけ見て「今は株価が下がっているから買いだ」と誤解することになります。

 

バリュー投資は長期投資とワンセットではありません。あくまで価格がバリューかどうか、割安かどうかなだけなので株価が上昇して割高になったら売却を検討することになりますが、短期間に上昇した場合でもバリュー投資だからそのまま保持するというロジックにはなりません。

 

バリュー投資と配当も直接の関係はありません。あくまで「株価」と「企業価値」との比較が関係してきます。

 

3.グロース投資
(意味)

投資対象の企業が市場平均に比べてより高い収益成長を見込める場合、PERやPBR(株価純資産倍率)などの水準を気にせずに投資する方法のこと。

 

(誤解を招く要素)

・単に株価が上昇している銘柄に投資すれば良いと思ってしまう

・バリュー投資は安全、グロース投資は危険と錯覚する

・配当(インカムゲイン)が得られないと思ってしまう

 

バリュー投資とグロース投資はそれぞれ「別の」基準をベースにしています。

なので良し悪しでは語ることはできません。

 

どちらも特徴があります。本来は特徴を理解した上で、自分の考え方や投資に充てられる時間と労力を踏まえて投資方法を選択するものです。

 

バリュー投資は財務諸表など「数字」の分析がカギを握ります。

グロース投資は「勢いと利益の伸び」への評価がカギを握ります。

 

いずれにしてもEPS・ROE自己資本利益率)・キャッシュフローなどをまず分析することになりますが市場の状況やトレンドに乗っかっているかなどその企業の「成長性」を支える材料に着目することが重要です。

 

またグロース投資法では利益確定、損切りの基準を明確にしておく必要があります。何故なら購入価格を気にせず買うことになるので基準が不明瞭だと

・売り時を見失う

・市場が後退した時に判断を誤って、損失を抱えてしまう

からです。

 

グロース投資は「成長性」に期待した投資法ですが、「配当はいらない」というわけではありません。成長性の高い企業は無配当のところもありますがアップルやマイクロソフトのように「配当を出す成長企業」も対象になります。

 

バリューとグロースはあくまで「買い方の違い」です。

 

 

4.短期投資、長期投資

・必ずしも短期投資×、長期投資◯ではない。

市場から退場しないことが推奨されていますが、それはイコール「長期投資がベスト」ではありません。

 

短期投資と長期投資は「銘柄保有見込み期間の基準」が違うだけです。

・短期投資は1週間〜3ヶ月程度

・長期投資は2年以上

とされています。目安としていつまでをターゲットとして購入銘柄の成長性を期待するかなので方針というよりも「購入銘柄の特徴と狙い」によって短期投資対象とするか長期対象投資とするかを決めるのが本来必要となる判断軸です。

 

 

また長期投資=積立貯金と考えてしまうと、運用負担は楽になりますが、現時点での株価と利益を軽視することになるので注意が必要です。

 

5.「良い企業は最終的に右肩上がりに伸びる」だからバイアンドホールドが良い

主に長期投資根拠とストーリーに用いられる事が多いです。

この言葉そのものに誤りはありません。

 

ただし、いつ右肩上がりになるかは誰も保証してくれません

 

個別株投資の銘柄でよく「良い企業はいつまでも持っておくべき」という話が出るのはバフェットの格言からだと思います。

 

間違いはないですが、これは「購入銘柄へのフォローとワンセット」であるべきだと思います。

 

この場合のフォローとは

・決算の内容に問題がないこと

・トレンドから外れていないこと

・衰退期に向かっていないこと(ライバルに追い抜かれていないこと等)

を指します。

 

また株価が下がった場合、保持して良いかの分析も必要です。

 

フォローして分析を続けた結果、キープして問題なしであれば継続保有となりますがそれが中長期的に期待できる銘柄が永久保持銘柄「候補」となるわけです。

 

つまり期待はするものの、実際にバイアンドホールドするべきかどうかは常に判断が入り、「結果として」バイアンドホールドになったというストーリーが自然であり、狙ってやるものではないということになります。

 

言い換えると、購入後のフォローが面倒な場合は個別株でのバイアンドホールド戦略は採用すべきではないということになります。

 

 

6.アクティブ運用、インデックス運用

 

筆者は個別株投資はすべからく「アクティブ運用」だと思っています。

 

インデックス運用とは「市場平均に近づける運用」である以上、個別株を組み合わせて市場平均を狙うというのはかなり難しいです。

 

何故難しいかはインデックス運用を行なっているETF投資信託の構成内容を見ると分かります。相当多くの銘柄が組み込まれています。多くの銘柄を組み合わせて市場平均に近づけているわけなので数種類・数十種類の銘柄で実現するのは困難です。

 

なので、アクティブ・インデックスを個別株投資として話しているのを見かけたら注意が必要です。

 

7.配当利回り

 

配当利回りとは購入した株価に対し、年間でどれだけの配当が得られるかを求めたものです。

 

配当利回りを評価する際は、「パーセントよりも幾ら投資して幾らの配当が得られるか」配当利回りを求める式の方に着目した方が良いです。

 

何故なら

・配当をいくら手にできるかを実感できるから

配当利回りが上がる=株価が下がることを意味しているので単に配当利回りが上がれば良いというわけではないから

です。

 

8.配当金再投資による複利運用

 

単純に元本に対して一定額を積み立てるよりも、配当金を組み込んだ方が複利運用となるので資産が早く増えることになります。

 

ただこれは長期投資と同じではない点に注意が必要です。

 

元本+利息で運用するとプラスの伸び率が高くなるので大事ですが、だからと言って購入銘柄を保持し続けた方が良いというロジックとは結びつきません。

 

一旦売却して売却益と配当益を組み込んで「再度1から投資する」ことも配当金再投資と言えます。

 

9.高配当、連続増配銘柄への投資

 

高配当銘柄(他と比べて配当金が高い銘柄)

連続増配銘柄(毎年配当金を増やしている銘柄)

への投資は配当性向(利益に対しての配当の割合)との比較で検討した方が良いです。

 

とにかく高配当、とにかく連続増配だと配当性向がやたら高い、つまり「無理をして配当している」銘柄を引き当ててしまう可能性があります。

 

 

無理をしている銘柄はどこかで配当金がぶれてしまうことがあります、一度ブレてしまうと評価が下がってしまうため「他の銘柄よりも株価が大きく下落してしまう」ので注意が必要です。

 

長くなりましたが、投資法や投資にまつわる様々な言葉・キーワードについて整理してみました。さて整理した内容を踏まえてその3では「誤解を避けるための考え方」について考察してみたいと思います。