私たちは神様ではなく、未来を見渡す水晶玉を持っているわけでもないので未来を正確に予測することは不可能です。
ですが、ある程度予測の精度を高めることが出来るのであれば知っておいて損はないのではないでしょうか。今回はそんな話です。
1.将来の株価が上がるか下がるかを決める要素とは?
それは金利です。
金利を知れば、将来株価が上がる方向に向かうのか、下がる方向に向かうのかが「ある程度」分かります。
ちなみに株式投資と金利の関係を決める際の金利は「政策金利」のことを言います。
2.何故金利が価格を決めるのか
金利は物の値段を決める重要な要素です。
一番分かりやすい例はローンです。
例えば住宅を購入する際にほとんどの方はローンを組みます。ローンなので借りたお金に利息をつけて返すことになりますが、この「利息」がいくらになるかを決めるのが「金利」です。
金利が高ければ、その分だけ返済する際のお金が増えます。なので住宅を購入した際に返済するローンの総額も増えます。
買う側に立って見ると返さないといけないお金が増えてしまうのは困ります。場合によっては購入を取り止める人も出てくると思います。つまり金利が高くなると物が売れなくなってきます。
<金利が上がる→支払いの総額が増える→支払額を減らすようになる→物を買わなくなる→物が売れなくなる→需要を増やすため、価格を下げて物が売れるようにする>
というサイクルが発生します。
反対に
<金利が下がる→支払いの総額が減る→支払い額を増やしても問題ないと感じる→物を買うようになる→物が売れる→供給が追いつくように、価格を上げて調整する>
というサイクルも発生します。
金利がキッカケになるわけです。
単純に考えると
・金利が上がる→借金しづらくなる
・金利が下がる→借金しやすくなる
ということです。
「借金」というとネガティブな印象ですが、企業の活動資金と置き換えると分かりやすくなると思います。
金利が上がると企業の活動資金が減り、企業の勢いが停滞し始める。
金利が下がると企業の活動資金が増えて、企業の勢いが活性化し始める。
さて、こういった書き方をすると「金利は低い方がいいんじゃない?」と思う方もいると思いますが、それはどこかの国の大統領や首相の発想です。
・インフレ
・デフレ
の調整として用いるものです。金利を下げた時の効果を経済政策に利用していることが多いので金利を下げることにメリットがあるように思うだけで、実際は金利の上昇・下落にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
(金利引き上げ(利上げ)のメリット)
・インフレの抑制、つまり物価の上昇を抑制してくれます
・国の借金の抑制
・預金金利の上昇
(利上げのデメリット)
・経済活動の冷え込み
・株価を始め、金融商品の価格下落
・ローン金利の上昇
・調整に失敗するとデフレに
(金利引き下げ(利下げ)のメリット)
・経済活動の活性化
・株価を始め、金融商品の価格上昇
・ローン金利の下落
(利下げのデメリット)
・国の借金の増大
・預金金利の下落
・調整に失敗するとインフレに
・通貨価値が下落する
インフレ・デフレはそれぞれ過度な状態に陥ると経済状態が悪くなります。投資家目線でメリットを追い求めると利下げの方が良いということになりますが、長い目で見た場合必ずしも利下げすれば良いわけではないということが掴めるかと思います。
4.ある程度想定しておく
金利の上下コントロールによって株価が分かりやすく上下するわけではないですし、株価決定要因は様々なので、金利の動向だけで全てを判断出来るわけではありません。
ただ「ある程度の想定材料」にはなります。
ニュースなどで金利に関する情報が出て上下どちらかに動く、あるいは動きそうという話が出たらその時に例えば
・買い増しをする、しない
・一部売却をする、しない
の判断であったり、タイミングの前後調整をするなどが考えられます。
繰り返しますが、水晶玉を手に入れたわけではないので基本的には「あらゆる局面を想定する」か「自分で決めた基準に従って行動する」のが正解です。
ただ何も知らないよりは知っておいた方が精度が少し高くなる。そんなイメージで金利と向き合うと投資がより面白くなるという話です。
金利は為替にも影響するので、為替が気になる方は金利要チェックなのですが、それはまた別の機会に解説します。
金利と株価の関係はこちらでも詳しく分析していますので、こちらもご覧いただくと理解が深まると思います。
※このブログを書いているタイミングでこの記事がアップされたので驚きました。