アメリカと中国の貿易をめぐる攻防は2019年のホットワードでもありました。
時に緊張が高まり、時に緊張が緩む。緊張の度合いによって株価が上下し投資家を振り回しています。困っているのは投資家だけではなく、各国も影響しており、米中関係は世界全体の悩みの種でもあります。
さて2019年12月15日は米中の関係に大きく影響する材料が控えています。
12月15日は対中国の追加関税第4弾の発動予定日です。
この日までに通商交渉が進展あるいは良い方向に決着しなかった場合、追加関税が発動してしまう可能性があります。
市場がこれをどこまで織り込んでいるかがポイントではあるのですが、楽観シナリオで考えていた場合は週明け12月16日からの株価が大きく動く(おそらく下落する)可能性が高いです。
反対に悲観シナリオ、どうせ合意はしないだろうという織り込みであれば下落幅は小さいと思いますが12月に入ってから中国に関してネガティブなニュースが流れてくると株価にインパクトを与えているので市場は楽観シナリオを基準にしていると思われます。
なので12月15日の直前であるこのブログの投稿日:12月13日は要注意(図らずも13日の金曜日)ということになります。
一方で米中貿易戦争に関しては過度にナーバスになってはいけない理由があります。
それは
・金利引き下げ
と
・大統領選挙
の2つの要素が絡んでいるからです。
トランプ大統領はかねてからアメリカの金利を引き下げるよう常にプレッシャーをかけ続けています。何故なら「好景気を維持したい」からです。
金利と景気の関係はいずれ詳細解説できればと思いますが、単純化すると
・金利が上昇すると景気は悪くなる
・金利が下降すると景気は良くなる
という関係性があります。マクロ経済の仕組みを踏まえると単に金利を下げれば良いわけではないことが分かるのですが、トランプ大統領は「金利をできるだけ下げたい」意向を示しています。
金利は必要以上に下げてしまうとかえって経済に悪影響をもたらす可能性があるので、コントロールする側からすると状態が悪くならない限りは金利は維持したいという意向が働きます。
アメリカの金利をコントロールしているFRBとトランプ大統領の関係性はあまり良くないのですが、金利を引き下げないといけない材料が出てくればFRBは大統領の要求を結果的に飲まざるを得なくなります。そのためのカードとして米中貿易戦争が使われている部分があります。
何故か?それは2020年に行われる大統領選挙が関係していると見ています。
2期目を狙っているトランプ大統領としてはなるべく良い状態で大統領選挙を迎えたいはず。
何故なら過去景気が悪くなった状態で再選を果たした大統領はいないため、なんとしても景気の低迷を象徴する株価の下落は回避したいと考えているはずだからです。
金利を引き下げて市場にお金が流れやすい状態をキープし、だいぶ長く続いていると言われるアメリカ市場の株高を引き続きキープしておきたい。せめて2020年の選挙が終わるまでは。。。という目論見があるのかなと。
なので対中国へのポーズとしては自国に不利にならないようにするレベルで要求をつきつけた上で、着地点を模索しているのではないかと思われます。
つまり緊張の高まりと緩みをある程度コントロールしながら、市場をなるべく良い方向にコントロールするという狙いがあるのではと思います。
破綻するシナリオは回避する前提で(決定的な衝突が起きたら、経済はほぼ確実にクラッシュするので)少しでも有利な状態に持っていくために「意識的にバッドニュースを散りばめている」とした場合、米中貿易戦争の動向に過度にナーバスになってはいけないと考えます。
むしろ今の狙いの先を踏まえて、大統領選挙が終わったらどうなるか、ひょっとしたら一気に強硬路線になるかもというシナリオを考えておいてそれに備えておいた方が慌てずに済むのではないかと思います。米中が仲良く手を組むシナリオは、、、あって欲しいですが考えにくいなと。
※上記に書いた内容はあくまで個人的な予想です。参考にする際はご注意ください。