<目次>
1.投資の狙いをどこにするか
2.高配当・連続増配優先のメリット、デメリット
3.成長優先のメリット、デメリット
4.初期段階では何を優先した方が良いか
5.成功している人の話を参考にする際の注意
1.投資の狙いをどこにするか
投資する商品を問わず金融資産(株、債券、投資信託、ETF)に投資する際に意識するのは
・配当
・収益がどれぐらい伸びていくか
の2つではないかと思います。
株やETFを保持し続けると一定期間(日本だと半年に1回、アメリカだと3ヶ月に1回)経過するとお金が振り込まれます。これが配当金です。
配当金が増えていくということは株やETFを持てば持つほど収入(インカムゲイン)が増えていくということなので、サラリーマンにとっては不労収入を増やす行為となります。
株やETFはそれ自体に価格がつくので、当然ながら持っている株・ETFの価格は下がるよりは上がった方が良いので価格は上昇傾向であることが望ましいです。
以上のことから
・配当金がどれぐらい貰えるか
・株価は上昇するのか
が投資する人にとっての最大の関心ということになります。
2.高配当・連続増配優先のメリット、デメリット
配当金は多ければ多いほど良いので、配当金目当てで投資する人は
・高配当銘柄(他と比べると配当金が多く貰える銘柄)
・連続増配銘柄(毎期の配当金が右肩上がりに増やしている銘柄)
に注目します。高配当、連続増配と言われている商品は人気が高い傾向があります。
加えて投資本、投資ブログを見渡すと高配当、連続増配といったキーワードはよく出てきますので勉強したての方は一度は見ることになると思います。
高配当・連続増配銘柄投資のメリットは「安定的、定期的に収入が入ってくる」ことだと思います。売却しなくてもプラスの収入が入ってくるので、投資に不慣れな段階だと続けるモチベーションに繋がりやすいです。
一方でデメリットは「配当金には税金がかかる」ということです。
つまり年5%価格が上昇する銘柄と年5%の配当金が入手できる銘柄では手にできる収入に差が出てきます。
例えば10,000円で購入した銘柄に対して
A.5%価格が上昇した状態で年末に売却する→10,500円の500円に20.315%の税金
B.年5%の配当金が入ってくる(売却はしない)→配当金が入る毎に配当金に20.315%の税金
※NISAには入っていない前提とします。
となるので、収益の総額はAの方が上回ります。NISAに入れよというツッコミもあるかと思いますが。
3.成長優先のメリット、デメリット
配当金は必ず手に入るわけではありません。
企業が成長途上段階だとすると、株主に配当金を回すよりも自社のさらなる成長のためにお金を使いたいという意向が働きます。例えばAmazonやGoogle、Facebookといった超巨大企業でもまだまだ成長するという前提を置いているので配当金は出しません(無配と言います)。
ウォーレン・バフェットが経営しているバークシャー・ハサウェイは配当金を出しません。成長途上ということではなく自社株購入者には株価の上昇で還元する前提があるからです。
成長(株価上昇)を優先した銘柄に投資する場合、メリットは「株価上昇益の多さ」です。
ある程度成熟し、成長性が落ちた企業は株主にとって魅力のないものに映ります。魅力がなくなれば株が売れなくなってしまうので、それを回避するために収益を株主に配当する形で還元することにより魅力を維持するといった狙いがあります(それだけではないですが)。
成長性が高い企業はそんなことをしなくても自社の取り組みにより収益をガンガン上げて自社をスケールアップさせていくことができる自信を持っています。その自信を信じるリスクに見合うリターンということなので成長性重視銘柄は配当重視銘柄よりも「株価の伸び幅」が大きいです。伸び幅が大きいので上手くいくと収益が増えるスピードは早まります。
デメリットは確実性に欠けることです。経済情勢・企業の業績によって株価が下がってしまうとそのまま損失となります。
4.初期段階では何を優先した方が良いか
安定性を取るか、成長(収益)の拡大までのスピードをとるかどちらにするかということがここまでまとめた事の要約です。
ではスタートアップ段階ではどちらを優先した方が良いのでしょうか。
どちらも一長一短なので良し悪しでは決めにくいです。
ただ筆者は初期段階では「成長(収益)」を重視した方が良いと考えています。
なぜか?初期段階は「投資元本が少ない」からです。
配当金はあくまで投資元本に応じて支給されるものなので、当然ですが元本が多ければ多いほど配当金は多くなります。逆にいうと少額を投資しただけでは配当金は微々たるものです。
もちろん微々たる金額でもそれを積み重ねれば良いのですが、時間がかかります。
そう配当金狙いの投資のデメリットはもう1つあります。
「一定の収益を得るまでに時間がかかる」
ということです。
時間がかかっても安定的に収益を上げるやり方がお好みということであれば高配当・連続増配と言われる継続的に配当金を得やすい投資先に、コツコツと積み立てることで目標は達成されます。
配当金を再投資すれば複利効果が発生します。なので時間をかけることにより収益は膨んでいきます。
ただし、配当金の利回りは年3%〜7%と言われています。定期的に得たいと思う収入を達成するには元本を幾らにしないといけないのかは一度計算しておくことをオススメします。
それでもなお成長・収益を重視した方が良いのは投資初期段階で起こりがちな「ワナ」にはまらないようにした方が良いと考えるからです。
その「ワナ」とは
・焦り
・株価の下落
です。焦りとは「もっと早く稼ぎたい」という誘惑から導かれる焦りのことです。
株価の下落ですが、配当金重視のやり方をする場合購入した株やETFは「長い期間保持すること」が前提です。持っていないとお金が入ってこないからです。
ただその間に不況や経済状況の混乱が起きると価格は容赦無く下落します。この時も「持っておく」必要がありますが、仕組みが分かってくれば売却しなくて良いのですが初期段階だと「売却した方が良いのでは?」と不安になります。狼狽売りというやつです。
焦りと狼狽売りは保持を前提にした投資方針の最大の敵です。
この敵に真っ向勝負を挑むのは初期段階だと難しいので、であれば素直に価格に従って売買をした方が精神的には良いだろうという考え方です。
<成長株保持者の収益獲得イメージ>
・10,000円で株を1つ買う(価格が下がらない限りは保持)
・1ヶ月後11,000円になる→さらにもう1つ買う
・さらに1ヶ月後10,120円(11,000円の8%ダウン)になる→1株売却
・半年後12,000円に大幅上昇する。
この場合
・10,000円で購入した株→2,000円の収益
・11,000円で購入した株→880円の損失
なので1,120円のプラス収益ということになります(税金は考慮しない)。
つまり「株価が一定の基準で下落した際の売却ルール」を決めておけば下落しても大きな損失にはならないということになります。
保持し続ける場合、上記に書いた例で言うとさらに後に10,000円を割り込むことがあったとしても含み損を抱えたまま持っていないといけないのですが、株価が再上昇しない限り配当金だけで損失をカバーするというのは相応の時間を要します。
なお成長を優先する場合は「購入と売却のルールの明確化と徹底」が必要です。このルールを決めて徹底するというのはなかなか難しいので、初期段階の方とマッチしない部分があるのは否めません。デメリットでもあります。
5.成功している人の話を参考にする際の注意
ただそれでも配当金狙いより、成長性を重視した方が良いと考えているのは配当金再投資による投資を薦めている方の多くは「既に多くの投資資金を投入している」という点が気になったからです。
先ほども述べたとおり、多くのお金を投じていれば配当金リターンは相当なものになります。逆にいうとたどり着くまでにどれぐらいの時間がかかったのかを提示してもらわないと初期段階、これから収益を伸ばしていく段階の方にとってはフェアではないのではないかと感じています。
投資成功者、あるいは投資法を確立している方の話を参考にする際はぜひ
・投資元本(幾ら既に投じているか)
・現在の元本を貯めるまでに毎月幾ら投入し、どれぐらい時間がかかったか
は確認しておいた方が良いと思います。
筆者はこれから収益を上げていく途上にあるので、コツコツ積み立てるところもやっていきますがやはりジャンプアップのための取り組みは外せないと考えています。
・高配当狙い
・成長性狙い
相互のメリット・デメリット、特徴はしっかり理解した上で投資をしていくことをオススメします。どちらも絶対正しいわけでも絶対間違っているわけでもなく、特徴を踏まえて成長性優先の方が早く目標到達すると考えたからです。
資金がある程度貯まれば手間が掛からずに資金を生み出してくれる高配当株を買って配当金を得るやり方の方が効率的なので、方針変更で良いと思います。
なお、どちらの狙いにしても配当金と売却益は必ず再投資してください。
再投資しないと複利効果による資産増大が図れないからです。